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正しいキャッチボール(3)

野球等で肩や肘を痛めてしまう前に、まず一番に考えておかなければならないことは、適切な投球フォーム、正しい投球フォームを獲得することだと言えるでしょう。

今までも様々な角度からブログ上でお話ししてきましたけれども、特に小さなお子さんから小学生に至るまでの期間の中で、彼らが「適切な投球フォーム、正しいフォーム」を獲得する場面がきちんと設けられてきたかどうか?というのは、それぞれのお子さん達の周囲環境によっても差があったのではないかと感じます。

たとえば「元プロ野球のピッチャーなどから直接的な形で投球指導を受けたことがある。」とか、「経験豊富な少年野球指導者などから、直接的な形で投球指導を受けていた。」といっても、現時点でお子さん達の投球フォームに肩関節や肘関節に何らかの障害を抱えてしまう可能性が秘められていれば、やはり数ヶ月後か、若しくは数年を経て、野球肩や野球肘障害を抱える「元凶」となってしまうことは明白な事実ではないかと思います。

そして肘の離断性骨軟骨炎によって手術を余儀なくされてしまったようなお子さん達やリトルリーグ・ショルダーなどによって投球を長い期間休まなければならなかったようなお子さん達の場合も、ただその後に患部を治して投げられるようになっただけでは、その後の野球活動に対する不安は完全に拭えないものとなるはずです。

もちろん、その中には普段からの肩関節や肘関節のコンディショニング方法やケアの仕方、普段からのトレーニングの方法論についても、様々な意見の中から取捨選択をしながら、「正しいこと、理に叶ったこと」を追い求めては書籍やDVDまたはアドバイザーなどにその論を委ね模索している親御さんや指導者さん達もきっと沢山おいでではないかと思います。

どんなスポーツ動作であっても、やはり効率的な身体の使い方や力の使い方を習得していかなくては、それだけできちんとしたパフォーマンスが出せなかったり、スポーツ障害を抱えてしまう元凶になってしまうということを考えてみれば、自ずからスポーツにとって一番大切なことも見えてくるのではないかと思います。

それは走り方一つをとっても同じ事だし、投げ方、打ち方もそこに含まれているということです。

ただし「人間の目」にも限界があって、瞬時に起こっている運動動作を目視で観察しながら、その動作そのものを適切に評価するというのは非常に難しいことでもありますから、経験豊かで観察力の優れたアドバイザーであれば話は別ですが、全くの素人の方が動作を見て、それが「正しいのか・間違っているのか」を適切に判断することは到底無理なことではないかと思われます。

私自身も治療院で多くのお子さん達の投球動作を目視しながら、その難しさを実感してきた一人なわけですが、たとえここで適切な観察を行い、その修正に取り掛かったとしても、それがすぐに出来るようなお子さんもいれば、なかなかすぐには再現出来ないような場合もあるわけですから、やはり小さなお子さん達や小学生を相手にしておられる指導者の皆さんの苦労というものを実感しないわけにはいきません。

それはともかくとして、いずれにしても「低年齢時から適切な形を習得させる」ことによって、その後の障害予防やパフォーマンスの向上へと結実していくということを考えれば、それが一番のお子さん達への「愛情」であり、「真の指導」ではないかと思うに至るわけです。

以下はスポーツ・サイエンス・ラボが研究を行っている野球肩障害予防へ繋げる為の投球動作解析についてですが、動画サイトへ動画の公開がありましたので、こちらのブログでご紹介させていただこうと思います。

こういった研究成果がアマチュア界でも大いに広まっていくことを切に願っておりますが、それが今後「ビジネスとして成り立っていく」というよりは「普遍的な形で底辺に浸透していく」のが望ましいのかもしれません。

野球少年達が、これから後の時代の野球界を有意義に支えていって貰う為にも、このような素晴らしい研究を是非アマチュア界の皆さんにも支えて欲しいですね。

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