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東洋医学の気血水論による各病態

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気(き)・血(けつ)・水(すい)は人間の身体を構成している「物質」としてみなし、これらの物質が全身に汲まなく流れて滞りの無い状態が「健康」「元気」である・・・というものが,まず東洋医学の根本的な考え方の中にあります。

「気」というのは、「生命力」とも言われていますが、気とは「精神作用」や「心の働き」とも密接に関連しており、「病は気から」という言葉がある通り、心の状態が「生きる力を弱らせていく」と、全身を巡っている気が足りなくなったり、滞(とどこお)ってしまったり、気の運行が逆に流れてしまったりして、さまざまな諸症状が現われてくる・・・ということになります。

気が足りなくなることを東洋医学では「気虚(ききょ)」と呼んでいますが、この気虚状態になると、無気力状態になったり、倦怠感を感じたり、息切れをしたり、働く意欲を失ってみたり、活動するのが億劫になってきます。

また気が滞ることを「気滞(きたい)」と呼んでいますが、この気滞状態におちいると、喉(のど)が詰まった感じがしたり、焦燥感(あせりの気持ち)が出てきたり、憂鬱(ゆううつ)な精神状態に導かれていく・・・ということになってきます。

それから、気の循環が逆流していることを「気逆(きぎゃく)」と呼んでいますが、気逆状態になると、不眠症(夜 眠れない)になったり、イライラ感が募りやすくなったり、動悸(心臓がドキドキする)がしたり、眩暈(めまい)などの症状が現われてきます。

これらのような気の病をもととした様々な症状を改善する為に、私たちが普段行っている東洋医学では「鍼灸によって気を補ったり」「滞っている気を通したり」「逆流している気を正常に戻したり」することによって病気の改善をはかっていきます。

もしこれらのような症状があって、西洋医学による諸検査などで異常が見つからなかったような場合には、このような「気の病」である可能性があるかもしれないのです。

横浜・多宝堂にもこういった様々な愁訴を抱え病院の検査からは何も異常が見つからなかったクライアントさん達がおおぜい訪れてきましたが、不眠症状やイライラ感、焦燥感や憂鬱な精神状態なども総合施療によって改善してきました。

現実の生活には多くのストレス因子というものがあります。

そういった多くのストレスによって、実は「気」が病んでいく・・・ということになるのですが、これらのような「気の病」をほっておいてそのままにしておくと、今度はもう一段階深いところで(目には見えない場所で)、じりじりと病勢が増していくことになります。

それから「血(けつ)」とは「血液」の事を指しており、血液は全身に汲まなく流れて「各器官」などに「栄養を送る」という大切な働きをしています。血液成分に異常が見られた場合には西洋医学でも「異常」を察知する事が出来ますが、東洋医学には東洋医学の捉え方があります。

血(けつ)の状態悪化を示すものに3つあるのですが、まず「血虚(けっきょ)」といって、これは「血が不足」している状態を指しています。血が不足すると顔色が悪くなったり、爪がもろくなったり、目がかすんだり、眩暈(めまい)や動悸がおきます。

また「瘀血(おけつ)」という状態があるのですが、これは「血液が滞って体内に非活性化した古い血液が残った状態」を指しています。このような状態になっていると、のぼせや冷えなどの症状が出たり、頭痛や肩こり、眩暈、目の充血、痔(ぢ)、生理不順、更年期障害などの症状が現われますが、横浜・多宝堂でいつも行っている「カッピング療法&鍼施療の併用」は、この「瘀血(おけつ)」を改善するのに最適な方法になるのです。

それから「出血」という状態はその名の通り、「血液が体外に漏れ出す状態」を指していますが、この原因には3つあって、まず一つ目は「瘀血(おけつ)による出血」、二つ目が「血虚(けっきょ)による出血」、三つ目が「温病(うんびょう)で血分(けつぶん)であるための出血」になります。これらの症状を具体的に挙げれば、鼻血、痔出血、下血、発疹(ほっしん)等になります。

最後に「水(すい)」とは血液以外の水分・・・つまり体液・リンパ液等を指したものを呼んでいます。

身体全般に流れる体液が減少した状態を「津液不足(しんえき・ぶそく)」と呼んでおり、このような状態におかれると、粘膜で構成された口や鼻、喉(のど)などの乾燥を伴って、声が擦(かす)れたり、毛髪や皮膚が乾燥したり、目が窪(くぼ)んできたり、尿の量や発汗が少なくなっていきます。

また身体の中にある体液やリンパ液などが滞留している状態を「湿(しつ)」と呼んでおり、この状態にあるとお腹が張ったり、お腹が痛くなったり、便秘や残便感があったり、食欲が無くなったり、身体の各部位が浮腫(むく)んだり、手や足の倦怠感・ダルさを伴っていきます。

そして津液(しんえき)が活力を失い、体内に貯まった状態の事を「水滞(すいたい)」と呼んでおり、このような状態にあると腹水(お腹に水が溜まった状態)症状や全身の浮腫みに転じていくことになります。

人間の老化というのは、このような「気・血・水」に変調を来しながら徐々に進んでいく・・・ということになりますが、これらのバランスが悪化した状態では「慢性疾患」・・・つまり糖尿病であるとか、高血圧症やメタボリック・シンドロームといった成人病全般に陥っていくということになります。

東洋医学では漢方薬や鍼灸マッサージ施療によって、これら「気・血・水」の運行状態を改善したり、足りないものを補ったり、各構成成分の悪化した状態を改良したりすることで病気の勢力を和らげていく・・・ということになります。

人間が健康である為には、まず「気=精神状態」の運行がきちんと整っていて、全身を血液が汲まなく流れながら、その血液の状態や量も各人にとって正常で無ければなりませんし、全身の水分代謝が良好である・・・ということが即ち、「健康を維持していく」という健康観であり総体的な東洋医学の考え方・捉え方になっているということになるのです。(By 院長)