« 育児期のお母さん達に多い、身体的な痛みや骨盤の歪み | メイン | スポーツ・マッサージと筋肉痛緩和の原理 »

抗がん剤の副作用を改善するハリ治療の手法と患者さんの体感

Th372hud4hfldggfd

<抗がん剤の副作用を改善するハリ治療の手法と患者さんの体感>

抗がん剤治療中に「悪心(おしん)=嘔吐(おうと)=吐き気が発生することがあると思いますが、実はこのような抗がん剤治療中における「吐き気」をコントロールする方法の中には「化学薬剤」を用いず、「針治療」を行う事で吐き気を鎮めてしまう治療法があります。

横浜・多宝堂では抗ガン剤治療によって吐き気や倦怠感などの症状でお悩みの患者さん数名に対して、この「吐き気のコントロールが可能な針治療」を行ってきましたが、約70%~85%の患者さん達に吐き気や倦怠感を緩和させる効果が認められました。

東洋医学の中には「経穴=ツボ」という考え方・概念がありますが、これは西洋医学には存在しないものです。

この経穴(ツボ)を治療に用いながら、抗ガン剤投与中の副作用である吐き気や倦怠感を鎮めていくわけですが、実はこのような吐き気や倦怠感というものは、抗がん剤を投与している患者さん達だけに生じているわけではありません。

例えば、「車酔い」も吐き気を伴いますし、前日にお酒を飲みすぎて「二日酔い」に陥ってしまった場合にも吐き気を伴いますから、実はそのような様々な原因で発生する「吐き気」にも、この経穴(ツボ)を用いた治療法には効果が認められています。

この針と経穴(ツボ)を用いる治療法の中には、いくつかの方法があります。


「つらい吐き気を鎮めていく代表的な治療法」


これは手の厥陰心包経(ての・けついん・しんぽうけい)という経絡(ツボの流れ)の中で、「内関(ないかん)と郄門 (げきもん)」という二つの経穴(ツボ)にハリを刺入して患者さんに刺激を与えていく方法です。

解剖学的には、この「内関(ないかん)郄門 (げきもん)」は前腕掌側の中央部にあるため、「正中神経の走行に沿った部位」となります。

針刺激の方法には何種類かありますが、そのうちの代表的な手法の中には、「雀啄(じゃくたく)という施術法」によるものと、「低周波パルス治療法」があります。

雀啄(じゃくたく)という施術法は、まず先ほどの手の厥陰心包経である「内関(ないかん)と郄門 (げきもん)」にハリを刺入してから、針の柄の部分を軽く指で握った上で何度かハリを上下に軽く動かしていきます。

また「低周波パルス治療法」の場合には、この二つのツボに刺入した針の柄の部分に電極(+、-)を取り付け微弱電流を流します。そうすることで電気的作用によって針が自動的に上下に動いて患者さんに刺激を与えます。

いずれの治療法も中国から伝わってきた古(いにしえ)の施術方法で代表的な針を用いた治療方法になります。

そして体表に刺した針(ハリ)が上下に動かされると、患者さん達にどのような感覚が生じるのか?・・・といいますと『ある独特な感覚』を覚えます。

これはハリ治療を体験した人にしか解らないものですが、いわゆる『ツーンと響く感じ』だとか、『中からズーンと迫ってくるような感じ』といった言葉に置き変えられて患者さん達はその感覚を説明されます。

すると・・・その独特な感覚に『身体が包まれていく』と、『今まで感じていた嫌な吐き気や倦怠感』が『すっ・・と消えていく感じがする』・・・と言われます。

そのような感覚的な状況を施術によって何度か繰り返すことによって、施術後の数日間は「あまり吐き気や倦怠感を感じない状態が継続される。」と言われます。

もちろんこの効果には個人差があったり、患者さん自身の体調の変化にも左右されておりますが、針刺激による感覚というものが患者さんの脳に対し「何らかの変化を促している」からこそ、その上で症状が緩和していくのでしょう。

そして、そういった「脳内変化=モルフィネ様物質等の湧現」は有力な説となっていますし、脳内血流量が増加することも実験で判明しています。恐らくこれはハリ刺激が脳内血流量の増加を促すことで、「脳内活動の活発化=自然治癒力の増大」が生じるからではないか?という大前提の上に立っています。

私自身が今まで多くの施療経験の中から培ってきた「体験談」の中には、実はこの「吐き気や倦怠感を伴った患者さん」には非常に効果の高かった治療法だと言えますが、抗ガン剤の副作用である「吐き気、倦怠感を伴うような症状」に対しては、ハリ治療で患者さん達の神経的機能回復を図ることにも関心が高く寄せられており、世界的にも関心が高いのです。とうぜんですが、この日本でも大学病院などの西洋医療機関でハリ治療の研究は続けられています。

何らかの原因があって「気持ちが悪い」だとか、風邪を引いて身体がダルい・・・といった方々にも当然、こういった東洋医学的な治療手法で改善効果が認められておりますので、是非一度お試しになっては如何でしょうか。

今日は吐き気、倦怠感といった嫌な症状を緩和させる「針治療の手法」について、少しお話しさせて頂きました。(by 院長)