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痛み、不安、抑うつ、不眠を改善するハリ治療と食事

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ハリ治療がアルツハイマー病やうつ病などの予防に効果があるのは多くの皆さんもご存知だと思います。

ハリ治療を行うと脳内血流量が通常よりも約10%~20%程度増えるので(もちろんお体の状態によって個人差があります)、脳の機能が正常に働くように改善していくと考えられるからです。

脳の機能の正常な働きの中には「必要以上に痛みを感じさせない働き⇒ドーパミン・システム」というものがあるのですが、このような機能が正常に働かないと、ちょっとした刺激が「痛みへと変性してしまう」ので、いわゆる「神経過敏症」になったり「慢性痛」を自覚するようになってしまいます。

特にハリ治療において最も改善効果が期待できるのは「体の痛みを鎮める働き」「鎮痛作用」ですが、それではなぜハリ治療を行う事で痛みの感覚が減少し無くなっていくのでしょうか?

それには大きな理由があるからです。

ハリ治療を行うと脳内では一体どのような変化が起こっていくのかと云いますと・・・・

まず脳内血流量が通常よりも増えることで、脳内のセロトニン分泌量が増えます。そうすると身体全般における神経の沈静作用や鎮痛作用が起こってくるので、体のどの部分の痛み感覚であっても、同じように痛みの感覚が低下していきます。もちろんシビレなどのような異常感覚も同じように減少していくのは、このような理由からです。

ハリ治療の中には、皆さんもよくご存知だと思いますが、いわゆる一般的な「腰痛」に対する「遠隔部位療法」というものがあります。

これは痛みを感じている腰に直接ハリを刺さず、手や足の「経穴(ツボ)」にハリを刺して腰痛を治す治療方法で、これを私達施療家は俗称として「遠隔部位療法」と呼んでいます。

さて・・・痛みを自覚している腰に直接ハリ治療を施さないのに、なぜ手や足のツボにハリ治療を施すことで「腰痛が無くなってしまう」のでしょうか?

たとえばハリの遠隔部位療法の中で、腰痛の際に最も用いられる代表的な手足のツボは、まず手の甲にある「腰腿点(ようたいてん)=腰痛点(ようつうてん)」、それから膝の裏側にある「委中(いちゅう)」などがあります。また偏頭痛など頭部や側頭部の痛みに使われる遠隔部位穴には、手の親指付け根付近にある「合谷(ごうこく)」や「列缺(れっきょ)」などがあります。

そういった遠隔部位穴を使って腰の痛みや偏頭痛が減少して楽になってしまうのは一体なぜ?なのか。

まず手足のツボに施したハリの刺激は、患者さんの脳へと伝わっていくことになります。そうすると脳内の血流量が徐々に増していきます。

そして痛みを鎮める働きのある「脳内物質セロトニンの分泌量が増加する」ことによって、患者さん自身の「脳」で感じている「痛み」が徐々に減少していくことになります。

これがハリ治療における痛みの減少や鎮痛作用の仕組みとなるわけです。

その際に・・・

痛みのある部位に直接ハリ治療を施した方がより鎮痛効果が高いのかどうか?

また遠隔療法のように、痛みのある部位に直接ハリ治療を施さずに、離れた部位にハリ治療を施したほうが鎮痛効果が高いのかどうか?

もしくは、その二つの治療法を組み合わせた方が、より効果が高いのかどうかということをまず考察しながら治療を行っていくと、より改善効果が多くみられる・・そういうことになります。

脳内物質であるセロトニンの働きには、脳を活性化させたり、自律神経を調節したり、痛みの感覚を制御したり、背中などの抗重力筋の状態を良好にしたり、精神の安定などに関わっています。

ですからハリ治療を施すことによって脳内セロトニン分泌量が増加すれば、当然 上記のような事柄に対する改善効果が現れてくる・・・そういうことになります。

これは腰痛に限らず、ハリ治療によって偏頭痛やめまい、不安神経症、不眠症、うつ病、また長引く筋肉痛や打撲痛、捻挫後遺痛などが改善していく根本的な理由となるでしょう。

脳内物質であるドーパミンは「快感」を感じる脳内物質ですが、これは「人間のやる気の源」とも云われています。

しかし脳内セロトニンが激減すると同時にドーパミンもきちんと脳内で放出されなくなりますから、そうするとやる気の源がなくなってしまうので、何もする気がしなくなったり、うつ病に陥っていくことへと繋がるのでしょう。

脳内ドーパミンは、趣味に熱中して時間を忘れて楽しんでいたり、誰かから素敵なプレゼントや仕事で報酬を貰ったときなどに脳内から放出されており、そのような脳内の仕組みによって人間は快感や快楽を感じています。

そして脳内セロトニンが減少するとドーパミンが放出されるような行動を取ったり周囲でそのような状況がおこっても、ドーパミンが減少していれば周囲の環境に対して無関心になってしまったり孤独に引きこもってしまったり・・と、普段の行動や表情に変化が見られるようになっていきます。

最近ではこのような「うつ症状や引きこもり」などが社会問題化して久しいようですが、それらをある種のきっけとして自殺や犯罪などに結びついていることを考えてみると、それらを防ぐ手立てや対処法などを学んでおく必要があるとも言えるでしょう。

それでは・・・どうしたら脳内物質「セロトニン」を効率よく脳内で分泌させることが可能になるのでしょうか?

ハリ治療は脳内の側坐核(そくざかく)を刺激して、セロトニンをまず増加させることができるようですが、セロトニンの分泌に欠かす事の出来ない栄養素は「トリプトファン」と云われる「アミノ酸の一種」になります。

アミノ酸トリプトファンを摂取してセロトニンを増やすためには、同じようにビタミンBが必要です。アミノ酸やビタミンは人間の体内で作り出すことの出来ないものですから、これらは食品から摂取する必要があります。

【トリプトファンを含む食べ物】
牛乳、バナナ、ハチミツ、七面鳥、タマゴの白味、ツナ、乳製品、大豆、納豆、豆腐、魚介類、肉類(特に鶏肉)、玄米、豆類、たまご、ゴマ

【ビタミンB6を多く含む食べ物】
にんにく、小麦胚芽、本マグロ、カツオ、そば粉、黒砂糖、うるめいわし、鳥レバー、豚レバー、大豆、くるみ、玄米、アボガド


一例として朝か晩に一度でも「玄米」に「納豆&たまご」を混ぜてかけて食べていると、トリプトファンとビタミンB6が毎日摂取できる・・・そういうことになりますね。

以下のサイトにも、それらに関連した内容が記載されており、普段からの食事内容の大切さが感じられるのではないかと思いますので、是非ご参考にされてみてはいかがでしょうか。

アミノ酸/トリプトファン    

今日は痛み、不安、抑うつ、不眠を改善するハリ治療と食事に関して、脳内物質の働きを交えて少しお話をさせていただきました。

是非、このような脳の仕組みを勉強しながら、毎日の楽しい健康生活をより良く過ごしていく為に、ご自身のお体をもう一度振り返り帰りながら日々の健康への対処法・食事について考えてみていただければと思います。(by 院長)