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サッカー少年に多い股関節周囲の痛み

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サッカーは足でボールを蹴る動作、走る動作、急停止したり旋回する動作などが複雑に絡み合います。それからコンタクト(相手チームの選手とのぶつかり合い)もありますので、野球に比べれば外傷(怪我)が多いものです。

たとえば転倒して手首を捻挫してしまったり、肩を打って打撲したり、それからもちろん足首の捻挫、膝の靱帯損傷、股関節やそけい部の障害などがあります。

ただし少年時代は体重も軽く身長もそれほど高くはないので、野球のように野球肩・野球肘のような成長段階の「故障」は少ないほうだと感じてきました。しかし高校生くらいになってくれば、大人と大差の無い体格になりますから、怪我をしたり故障を起こす可能性は少年時代よりも高くなるでしょう。

少年時代にサッカーをプレーしていて割と多い障害とは、成長痛関連の「膝の下に痛みを訴えるオスグッド病」、「股関節痛」、「足のスネの痛み=前脛骨筋痛、シンスプリントなど」、「大腿部(ふととも)の内側、外側、前後の筋肉痛」、「足首の捻挫」でしょう。

そのうち「股関節痛」を訴えて訪れてくるサッカー少年達の状態を判断してみると、一番の要因としては「前ももの筋疲労⇒過度の筋緊張」や「骨盤の歪みによる足長差」によるものだと私は考えます。

スポーツ動作がアンバランスな状態に陥っていれば、股関節周囲の筋肉や太もも全般の過度の筋緊張が起こり、特にこれらを骨盤の歪みの主要因とすれば、左右の下肢(足)の長さに差が出てきて、走ったり、ボールを蹴ったり、急転回したりする動作の中で「股関節」に負担を起こっていくことで、その後に「痛み」を自覚していく・・・そういった経過となるのでしょう。

お父さんやお母さん達からは良く「股関節が固いから痛めるんでしょうか?」といったご質問もよく頂きますが、もちろん日頃の練習や試合で「太ももの全般的な筋疲労」を起こしていたり「おしりの筋肉=股関節周囲の大臀筋や中臀筋」に筋柔軟性が無くなって硬くなっていれば、股関節の動きは悪くなってしまい、ボールを蹴る動作や走る動作、止まる動作や急転回する動作で股関節への負担はどんどん増してしまうことになります。だから痛みが出てくるのです。

こういった過度の緊張を伴った股関節周囲の筋肉をそのままにしておけば、その後に骨盤の歪みが酷くなって、そのような骨盤がアンバランスなまま固定してしまえば更に腰の故障へと二次的な障害へと繋がりやすくなってしまいます。

まず対処法としては、練習や試合が終わったらクール・ダウン(15分~30分くらいのジョギング&ストレッチ等)をしっかり行って、家に帰ってきたら股関節周囲(前と後ろ)にアイシングを施して、その後に風呂に入って体全体をしっかり温めてから入浴後に硬さを感じている筋肉のスタティック・ストレッチ(静的ストレッチ)を行わせると良いでしょう。

ただし股関節痛が酷い場合は、アイシングだけに留めて、あまり無理に股関節を広げたりしてしまうと、その後に痛みが増幅されてしまう場合もありますから、そういった状態の場合には無理に柔軟体操を行わない方がいいでしょう。

股関節・膝関節・足関節は、全体重がかかって負担の大きい関節になりますから、痛みが酷い場合には練習や試合をきちんと休ませ、その後の経過をみて下さい。

内転筋や大腿部(ももの筋肉)、それから前脛骨筋(スネの筋肉)等の「筋肉に痛みを伴った外傷・故障」では鍼治療による改善効果が一番高いですし、ただ筋肉を冷やしているよりも早く患部の痛みが緩和していきます。

痛みのある筋肉であぅても筋膜炎が酷い場合には、患部を直接マッサージしてしまうと、その後に炎症がおこり痛みが酷くなってしまう場合もありますから、その辺りの状態判断を誤らないように「適切な対応」を行っていきましょう。

特に「内転筋⇒太ももの内側の筋肉」に痛みがあるケースでは、「付着部腱⇒股関節の付け根部分」に痛みが出ているかどうか確認するようにしましょう。

腱というのは筋肉が損傷したときよりも治るのに時間がかかりますから、不適切な対応はその後の「後遺痛」を引き起こしやすいので注意が必要です。どうしても練習や試合に出なければならない場合には、しっかりとバンデージやサポーターなどで太ももの筋肉や股関節を保護してプレーさせるようにしましょう。ただし「歩いても痛い」場合には、状態を確認してから早期に運動を中止させて下さい。

股関節痛では「筋肉の先端部分=腱」に炎症が起きているケースもあるし、「股関節周囲の筋肉自体」に痛みを伴っており、そのような痛みが股関節に響くような「放散痛」であるケースもあります。

また骨盤の歪みが要因となって足の長さに違いがみられような状態であれば「股関節自体にストレスが生じていて関節に炎症をおこして痛みが出ている」ケースもあるので、そういった様々なケースをしっかり想定しておき、状態によってはプレーを休ませる、またはバンテージやサポーターで患部を保護しながら、状況によってはプレーさせる・・・そのようにして欲しいと思います。

・・・・ということで、サッカーでは股関節周囲の痛みは割と多い障害だと思いますが、早期に解決してあげれば、それほど酷い状態にはならないでしょう。

一番大切な事は「何が要因で股関節に痛みが出ているのか?」という事であり、体全般のチェックを行っていくべき障害ではないかと思います。そしてその原因に対する「適切な対応」ということになりますが、もし骨盤偏位による足の長さに違いが診られるケースでは整体を行い骨盤バランスを正常なバランスへと整えていったり、臀部(股関節周囲の筋肉)に強い筋緊張状態があれば、その緊張をスポーツ・マッサージ等で緩和させていくことです。そういった「痛みの要因に対する適切な治療」を行っていけば痛みは割りと早期に緩和するのです。

ただ痛みの出ている場所を冷やしているだけ・・・といったお子さん達もいましたが、まず痛みの原因・要因をしっかり考察して早期に治療対応することが一番大切だと私は感じています。(by 院長)