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足首の痛みは様々なケースを想定して対応

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一般の方の中には休日などにスポーツを行っていて、足首を捻ってしまった・・・といって施療を受けに訪れてこられる場合がありますが、プロ野球でも人工芝などにスパイクの剣が引っかかったりして足首の内反捻挫を引き起してしまった選手や、土のグランドで、たまたま少し土の一部が掘れてしまっているところに足を取られて捻挫を引き起こしてしまった選手がよくいたものです。

足首の周囲には靭帯が張り巡らされていて、捻挫を引き起こすとそういった「靭帯」が引き伸ばされ痛めてしまうことになるわけですが、靭帯というのは「骨」に付着しているので、靭帯を痛めると共に骨折を引き起こしてしまったケースもありました。

これは捻挫によって靭帯が引き伸ばされながら、その靭帯がくっついている部分の骨が外力によって「靭帯ごと剥離(剥がれてしまう骨折)」してしまうといった骨折になりますが、こういった「靭帯損傷と剥離骨折」を一緒に伴っているような障害では、早期に足首の固定を行って患部の安静を図ることが肝要となります。

よく捻挫をして1か月も2か月も痛みが引かない・・・といったケースがあります。

こういったケースでは足部の剥離骨折を見逃していて、その骨折が完治していない場合もありますが、たとえ骨折を伴っていなかったにせよ、靭帯を損傷した場合というのは筋肉の障害よりも完治に時間がかかるという事をまず認識しておく必要があります。

筋肉というのは血管が豊富に張り巡らされているので、もし痛めてしまったとしてもその後の適切な対応によっては回復を早めることも可能ですが、靭帯というのは一度引き伸ばされてしまった場合には元に戻らないので、特に足関節捻挫の後に自覚する関節の「ゆるみ、ぐらつき」というのは、そもそも「靭帯が引き伸ばされて緩くなって」しまった結果に訪れてくる「捻挫の後遺障害」ということになるので、この違和感というものが、なかなか改善していかない場合もあるのです。

一度捻挫をして緩くなった足首の関節というのは、そう簡単に元には戻りません。

捻挫によって靭帯を損傷する・・・といっても程度によっては、人工靭帯による靭帯再建術や自家腱(自分の体の一部である腱などを靭帯として利用する)を使って靭帯再建術を行わなければ痛みが引かなくなるような酷いケースも起こることがあるのです。

しかし近年では人工靭帯による再建術の成績が上がってきているので、もし足首の靭帯が捻挫によって完全断裂してしまっても、医療機関によっては対応が可能な場合もありますし、プロ野球選手の中にもそういった再建術によって回復し野球を続けているケースもあるのです。

一般の方の捻挫ではそのような酷いケースというのはあまり見受けられませんが、元々各関節が生まれつき柔らかい為、慢性的な足首の捻挫を引き起こしているような方もたまにおられるようでした。

お子さんの中にはそういった足首の緩さを伴っていて、「足の関節のはまり」が悪くなっていて痛みを引き起こしているようなケースも何度か見受けられました。

お子さん達の場合は元々緩さを伴っていて、ちょっとした拍子に足首の関節がズレてしまって痛みが出ているとしても、足関節部の矯正を行ってあげると簡単に痛みが引くこともありますから、それほど心配はないと思います。

ただしその痛みの原因が「捻挫」なのか、それとも「元々足首が緩くてズレてしまった状態」なのかが判断出来ない・・・といったケースがあるようなのですが、こういった場合でお母さん方がもし比較検討するのであれば、足首の腫れがあるのか?無いのか?という確認の上で一応の判断は付くと思います。

それから捻挫だと仮定した場合には痛い方の足だけで立たせてみて「ケンケン」が出来るかどうか確認してみて下さい。もし本当に捻挫をしているようであれば、まず片足でケンケンすることは出来ないはずです。ですからただ足首の関節がずれている場合の時であれば片足ケンケンが可能なはずですから、そういった「動かした状態」で判断してみるのも一つの方法ではないかと思います。

しかし明らかに足首の周囲に腫れが認められた場合には、ほぼ間違いなく捻挫によって靭帯を痛めている・・・と判断して良いと思いますので、こういった場合で安静時にもかなり痛みが酷いと判断した場合には、まず「整形外科でレントゲン検査」を受けておくべきではないかと思います。

最近のお子さん達はやや骨が弱いのか、ただの捻挫だけではなく骨折を伴ってしまうケースも多いようですし、捻挫の後遺障害を防ぐ意味においても、まず骨折の有無を確認して、その後の対応を速やかに行うべきではないかと思います。

足首の捻挫によって痛めてしまった靭帯の痛みというのは、軟部組織の炎症に対する適切な対応をしっかりと行っていなかったり、まだ炎症が引かない状態なのに無理をして歩行したり走ってしまった場合には当然起こる可能性が高くなります。

捻挫を軽く考えて「たいした痛みではないから大丈夫」といって、そのまま運動を続けさせていると、後遺障害としての「慢性痛」や「慢性の炎症」が後々になって尾を引いてしまう場合もあるので、適切な対応を行いながら経過をまずしっかりと見ていくべきだと思います。

横浜・多宝堂では足首の捻挫時における障害程度の判断や初期対応を行いながらクライアントさんがその後に慢性痛を引き起こさないように指導&施療を行って参りました。

足首というのは体のバランスを整えていく意味においても非常に重要な関節となりますので、この足関節をより良い状態に保っていく為にも、もし足首の異常があれば是非一度御相談頂きたいと思っております。

特に足首のズレを起因とした代償性運動によって腰痛などを引き起こしているケースもありますので、そういった整合性を失っている足首に対する矯正も行っておりますが、未成年の学生さんであれ、足首の矯正を行うだけでも痛みが完治してしまう場合もあって、こういったケースでは足首の痛みの原因が「捻挫」によるものなのか?それとも「足首の関節の整合性に問題があるのか?」または「足底部のアーチに問題があるのか?」といった様々なパターンから障害を見極めていく事が必要であると考えています。(by 院長)