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子供達からの質問

Pm5018

「先生・・・先生ってダルビッシュとか新庄のこともマッサージしてたんですよね?」

そんなことを中学生や高校生のクライアントさん達から施療中に良く聞かれるんですが、そんなときにはこんなお話を子供さん達に話して聞かせています。

「そりゃもちろんダルビュッシュだって新庄だってマッサージしたことあるよ。でもね、彼らだけがプロ野球選手じゃないんだよ。例えば2軍にも選手達は一杯いるだろ?先生が1軍でトレーナーをやってた頃はレギュラーの選手達ばっかりよくマッサージしてたけど、2軍でトレーナーやってた頃はね、1軍に上がろうと歯を食いしばって毎日練習したり試合に出ている若い選手達の体を診てきたんだ。そうするとね、1軍の試合に出ている選手達と2軍の選手達の体の違いっていうのが本当に良く解るんだよね。そうやって色んな選手達をマッサージしながら経験を積んで来たから君たちの体を診たときに君たちがこれからやらなきゃならない事も本当に良く解るんだよ。だってスポーツっていうのはさ、自分の体と心で戦うもんだろ?もちろん生まれ持った才能の力だってあるかも知れないけどさ、やっぱり見えないところで努力してる選手達がプロの世界でも生き残ってるんだから・・・そういうのって解るよね?」

「ジャイアンツに木村拓也っていう選手がいるだろ?彼は先生と同期生なんだよ。木村君は高校卒業と同時にさ、ファイターズにキャッチャーで入団してきたんだよね。でも今はキャッチャーやってないだろ?先生は木村君がファイターズに入団した年にファイターズの専属トレーナーになったんだけどね、彼を当時見ていて本当に真面目なタイプの選手だなぁ・・・って感じてたんだよね。でもそれほど目立つような選手じゃなかったし、まさか木村君があんなに活躍してプロ野球の世界で長い間選手を続けていられるとは思ってなかったんだよ。だけど今もジャイアンツで野球を続けてるし、レギュラーで試合にも出てるよね?そんな彼の活躍の姿を見ているとね、野球は絶対に才能だけじゃ無いっていうのが解るんだよね。見えないところでどれだけ努力してきたのかっていうのが、やっぱり大切なんじゃないかな?違うかな?」

こんな話を子供達にすると何故か神妙な面持ちで「なるほどなぁ・・・」といったような顔で私の目をマジマジと見つめるんですね(笑)

確かにプロ野球の世界で光の当たっている選手っていうのは、子供達にとっても「夢や目標」とする姿に映るんだと思いますが、彼らの目にはあまり映らないような選手だって大勢いるわけですよね。野球は一人じゃ出来ないですから、色んなタイプの選手が揃ってないと面白くもないわけです。そういう意味でも何かしらの可能性を持った子供達が野球に夢を抱きながら上を目指していく中で、そういった話を私のようなプロ野球で生活をしていた者が真面目な顔で話をしてあげると、やはりそれなりに重みを感じてくれるような気がするんですね。

先天的に才能があるからプロ野球選手になれるんだ・・・・。確かにそう言われればその通りなのかもしれませんが、実際はそうじゃないと思うんですね私は。光の当たらない選手や目立たない選手達も実は陰で必死に練習しながらチャンスをものにして上に行く事を常に意識しながら野球をやってるんだと思うわけです。そういう目に見えないところを私は子供達に一杯話を聞かせてあげたいなぁ・・・と常々そう思いながら色んな話をしてるんですが、もちろん華やかな舞台で目立っている選手達が彼らの気を引くのは理解しています。だけどただそればかりに目を奪われていても、自分が野球をやるんだ・・・という立場に立ったときには、それが逆にマイナス要素にもなる気がしてるんです。

ただ一つだけ言える事は野球だろうとサッカーだろうと「自分」を良く知って、その自分の良いところを自分自身で伸ばそうと努力してきた人間が、やっぱり一流になっていくんじゃないかと思うんですよね。一流と呼ばれる人達だって、もちろん水面下で努力してきたからそこまで到達したんですからね。

確かにダルビュシュや新庄に限らず、実績を残した選手達は素晴らしい身体能力と精神を兼ね備えていると思いますが、長い間色んな選手達をまじかに見てきて言えることは類稀なる身体能力だけじゃなくって、精神そのものの中にある「何か?」が、彼らをあのような舞台へと押し上げていったのかも知れませんよね。

それが「運」だとか「星のもとに生まれた」と言うならそれまでですが、タイガースの金本だって本当に努力努力の人じゃないですか?その「何か?」・・・っていうのが一体何なのかは、やはり本人のみぞ知る・・・結局はそういう事になるんじゃないでしょうか。