« 足首の捻挫/障害対処法(1) | メイン | ヤンキース田中将大投手の肘・内側側副靭帯損傷とPitcher Abuse Points(投手酷使ポイント)の関連性 »

女性にみられる梨状筋症候群による股関節周辺の疼痛

Thwwe9067721ksllo

若い世代の女性の中に臀部(股関節後方部)に痛みやしびれを自覚している人の御相談があります。私がプロ野球のトレーナー時代、臀部に痛みやしびれを訴えていた選手がおりましたが、通常は「坐骨神経痛」の症状を伴っていたり、股関節を動かすと痛みが誘発されたりして、その原因が「腰部」からくるものなのか、それとも「股関節」からくるものなのか・・・という疑問を抱いたものです。

 

あるプロ野球選手がこのような臀部の痛みやしびれを自覚していた際に、整形外科のチームドクターを受診したことがありました。そして臀部の痛みの原因が「梨状筋症候群」ではないかという診断が下ってから、数回にわたって施療を行いながら、その後の経過を診たことを思い出すことがありますが、この選手の著明な徴候として観察されたのが、股関節を大きく内旋させていことすると可動域が非常に狭くなっておりました。また股関節を屈曲させていくと必ず臀部に痛みが増悪されており、ランニングなどを行っていると足の方まで痺れてきて力が入らなくなる・・・と訴えていたのです。

 

一般の方々の中でこのような傾向を示す場合、腰痛(腰椎椎間板症)などを起因とする場合や骨盤偏位を起因としたものや股関節のズレなどを伴っている場合がほとんどだったようですが、特に若い世代の女性に股関節周囲に痛みやしびれを自覚する人が多かったように感じています。

 

もちろん中年期以降の女性にもこのような症状が診られる場合もありましたが、そういった場合には長年テニスを行ってきたとか、バレーボールを行ってきたといった経年のスポーツ歴をもったクライアントさんに多かったように思います。

 

参考ブログの画像を見て頂けると御理解出来ると思いますが、この梨状筋というのは骨盤の仙骨部と股関節を結んだ線上にある筋肉です。そして梨状筋下部からは坐骨神経という非常に太い下肢への神経が出ておりますので、この梨状筋に強い緊張があると坐骨神経を圧迫して痛みや痺れを出現させてしまうのです。

 

骨盤が大きく前方に傾いていたり、股関節自体が固くて動きが抑制されていると構造的な視点で見ていくと梨状筋は絶えず緊張を強いられる状態になってしまうことが判ります。

 

O脚・X脚の人のように股関節がある一方の動きに傾いている人や股関節をより多く使ってストレスをかけているようなスポーツマン・スポーツウーマンの方はこのような状況から梨状筋症候群に陥りやすい可能性があり、股関節の外転動作や内転動作が固くなっている人なども当然これらに当てはまります。

 

それ以外では長時間起立して仕事を続けているような警備を仕事としているような男性やその反対に長時間を座位(座っている状態)で仕事を続けているデスクワークを行っているような人達も梨状筋症候群に陥りやすいのではないかと考えられます。

 

こういった梨状筋症候群に陥っている人達の下肢(足)を触ってみると片方の足だけが主に血行が悪くなっているのが判ります。ランニングを行って汗をかいても片方の臀部に汗をまったくかかないようなケースもあります。

 

このように臀部の深いところにある梨状筋に異常がある場合には、まず長鍼(長い鍼)などである程度の位置まで鍼刺激を行っていくことで梨状筋の緊張を緩めてあげることが可能です。また梨状筋の柔軟性を確保してから股関節の可動域を徐々に広げていきながら、それと同時に内転筋や中臀筋等をしっかりマッサージして柔軟性を高めていくと更に可動域が大きくなっていきます。

 

このような状態になってから整体を行って骨盤の歪み(骨盤偏位)や股関節の整合性を高めてあげると臀部の痛みや痺れが緩和されてくるようです。

 

スポーツ選手の場合は筋量が多く筋緊張を強く伴った場合が多いものですが、若い女性の場合にはどちらかというと筋量も少ないし、骨盤偏位や股関節の不整合を原因としたものが多いので割と短い施療期間で改善を見せていました。

 

それから仙骨(蝶つがい)に圧痛や安静時痛を自覚している若い女性がおられますが、そういうケースでは骨盤が開いていて仙腸関節にストレスがかかった人に多かったようです。これは出産後の女性にも多い症状ではないかと思いますが、特に痩せていてややO脚気味の人にもこんな症状を訴える女性が多かったように思います。

 

女性の場合は骨盤内に於血(汚れた血液)が滞留しやすいということもあって、特に骨盤周辺の痛みやしびれ、それから鈍重感などを訴える方が多いのですが、私の場合は全身的なスポーツマッサージや全身調整を目的とする鍼施療を行った上で整体を最後に行って女性特有の骨盤周辺の異常に対応しているのですが、その方が体全体に軽さというかスッキリ感が芽生えてくるようなのでそうしているんですね。

施療後の顔色が薄桃色になった状態を確認することが出来れば、ほぼ99%の女性がそのようなスッキリ感で痛みも改善されているようですね(*^_^*)

いずれにしても若い女性の場合には、股関節周囲の痛みやしびれ単独の症状というよりも腰を中心とした骨盤のバランスに問題を抱えている人が多く、これは体幹(腹筋や背筋、側腹筋)の筋群の機能不全も根底にはあるように思いますので、こういった体幹のコンディションを高めてあげるような運動療法を指導して、普段から自分の部屋で行って貰うことで体の中心部である骨盤のバランスを良い状態に保って頂くことが一番の予防法になっていくのではないでしょうか。(by 院長)



<参考Web> 

梨状筋症候群