頸椎ヘルニアによる感覚異常と痛み

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頸椎ヘルニアの場合、頸椎の何番目に障害が及んでいるのか?という状況を患者さんの感覚異常から読み取る情報があります。

感覚異常の中には肩から腕・手指にかけての「シビレ」や「痛み」または指先などの「知覚鈍磨=感覚が鈍くなる」を主としています。

横浜・多宝堂治療院では頸椎ヘルニアと病院で診断を受けた後に、訪れて来られたクライアントさんが十数名ほどおられましたが、いずれも鍼灸マッサージや頸胸椎部調整によって痛みやシビレ、知覚鈍磨が消失していった確率は約95%でした。

施療を開始する前に必ずチェックする神経根に対するテストを行い、上肢への放散痛、シビレなどがどの程度なのか?また何処の部位にそういった症状が出ているのかを確認します。またクライアントさんの日常生活の中において、どういった場面でそれらの症状が発現し、また増悪するのか確認を取ります。

通常は「朝方の起床時に必ず指先にシビレを感じる」だとか、天井を見上げる姿勢を取ると首から肩にかけて電撃痛があるという場合があったり、パソコンのキーボードを打っていると指先の感覚が鈍くなってくる・・・といったものでしたが、中には車を運転する際に後方を確認しようとして首を捻ろうと思ったけれど、首に激痛が走るので、そのような頸部の運動制限がある・・・といった様々な状況があるようでした。

病院の検査等で実際に椎間板変性やヘルニア症を認められたとしても、感覚異常や痛みが発現しない場合もあるので、画像上からの所見は所見として、あくまでも患者さんの主訴を中心とした診断になることは当然としても、外傷性によるもので無い場合には、直接的な原因の除去(ヘルニアの除去手術等)をたとえ行わなくても、自然消退する場合もあるし、鍼灸マッサージで改善されるケースも多いことから、患者さんの健康状態や疲労度、また日常的な体の使い方などを改善することでも頸椎ヘルニア症は緩和させていくことが可能だと思います。

なかには重症な感覚異常や痛みを自覚しているケースもありますが、こういった場合は痛みによって二次的な筋緊張や筋委縮などが著明になっている場合もあるので、こういったケースでは治療回数もやや多くなることは否めないのですが、施療を行っていくとかなり運動時の痛みが軽減されていくので、日常生活の負担が減少しているようですね。

また指先のシビレ、痛み、知覚鈍磨のみで頸部に痛みを伴わない頸椎ヘルニアと診断されたケースでは、数回の施療により著明な改善効果がありましたので、「頸部だけに痛みがある」又は「腕や指先にシビレや痛みなどがある」といった場合は是非御相談下さい。

もちろん重症なケースでも根気よく施療を行っていけば、日常的生活の範囲の中でも、かなり痛みやシビレ、知覚鈍磨の症状が軽減していくと思います。

頸椎ヘルニアに対するアプローチの中で確認すべき大切な事とは・・・

① 頸部の前後屈や回旋動作時に頸部の痛みがあるのか?無いのか?
② またそのような首の運動によって腕や指先への放散痛があるのか?無いのか?

③ 肩甲骨を動かしたときに首や腕・指先に感覚異常が出るのか?出ないのか?


この3点でおよその予測をつけながら施療を行っていく・・・ということになります。


* 陰圧療法、脊柱鍼法、全身的なスポーツマッサージ(頸部を背部方向から押すと痛みが誘発される場合、側法スポーツ・マッサージを行います)で、そして肩甲胸郭関節運動など頸部ヘルニアに対する有効だと判断できる施療によって早い時期から施療を開始してみませんか?その効果を体感されるのではないかと思います。



<関連Web>

* 頸部椎間板ヘルニア

慢性的な痛みの正体

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鎮痛薬というのは一時的な生体への化学的作用によって「痛みを抑えている」だけですから、例えば「虫歯で痛みが止まらない」とか「骨折をして痛みが引かない」といった場合には、器質的な原因が特定されているので鎮痛剤を使用していても全く問題がないわけです。

これは要するに「痛みの原因が解消された場合には、痛みが出現しない」ということが解っているので、治療を行って完治してしまえば、その後は薬を飲む必要は無い・・・ということが解っているからであります。

ところが慢性痛の場合に鎮痛剤を使用していると、どういうことになるかというと・・・まず下記の文段をお読みになると御理解を得られるのではないかと思います。


<慢性痛の発生機序>

体のある部位に刺激が加わる
      ↓
脊髄(脊柱内部)を介して刺激が大脳に伝わる
      ↓
自律神経のうちの交感神経が興奮する
      ↓
副腎髄質からアドレナリンを分泌
      ↓
末梢血管を収縮させる
      ↓
血液循環の低下が起こる
      ↓
痛みを自覚した部位の筋肉が反射的に緊張を起こす
      ↓
筋緊張が更に血液循環を悪化させる
      ↓
緊張した場所の酸素量が低下して、ブラジキニン、セロトニン、ヒスタミン、カリウムイオンなどの発痛物質が発生して、更に新たな痛みを引き起こす
(東洋医学研究所所長/黒野保三著書より)

慢性痛を簡単に説明すれば、痛みがあるとまず筋肉が緊張して、その筋肉が緊張した状態が持続することによって、今度はその部位の血行が悪くなります。

そうすると痛みを引き起こす物質がその痛みを感じている部位に滞(とどこお)るため、更に筋肉が緊張していく事によって更に痛みが増悪することになります。


慢性痛というのはこの悪循環が繰り返されている状態である・・・ということになるわけです。

上記のような機序(しくみ)によって慢性痛自体が悪循環を繰り返している・・・ということになるわけですが、こういった慢性痛の状態にある人達が鎮痛消炎剤(痛み止め薬)を長い間に亘って用いていた場合や筋弛緩剤などの筋緊張を緩める働きのある薬を長期に亘って服用することに関して問題点をまず挙げておく必要があるのではないでしょうか。

筋弛緩剤の問題点:副作用の中には以下のようなものがあります。

1.筋力低下

筋弛緩剤には筋肉の収縮を抑える働きがある為、筋力の低下を引き起こします。

2.倦怠感、眠気

筋肉がしっかり収縮出来ないので体に力が入り辛くなり倦怠感や眠気を引き起こします。(やる気がおきない、元気がなくなる)

3.消化管の蠕動運動を抑制してしまう為、胃腸の働きが悪くなる。(便秘症状、新陳代謝の低下))

それから鎮痛消炎剤の問題点というのは以下のようなものになります。

1.全身の血液循環を抑制する。

2.交感神経を緊張させる為、眠れない、イライラするなどの精神的な影響がある。

3.胃腸障害を起こすことがある。

これらはあくまでも薬を長期的に使用したり、服用する量が適切でない場合や飲み合わせの問題や体質の問題も絡んできますが、薬というものの副作用を知識として学んでおくことは大切なことではないでしょうか。

そして薬というのは、あくまでも「治す」為に作用しているのでは無く、症状自体を緩和させたり抑え込んでいる・・・という事実をまず認識しなければなりません。

原因不明の痛みや慢性痛に対して薬を用いていく場合には、このような薬の一側面や副作用もしっかり認識して私達は服用していくべきで、自己判断の元で服用を続けてしまうと非常に危険を伴うことになります。

化学合成された薬剤に強い体質の人、弱い体質の人がいるのは周知の通りですが、薬の主作用や副作用というものを知らずに長期内服していれば、当然、今までに無かったような副作用の症状が出現してきたり、「二次的な弊害が生じる可能性もある」ということです。

鍼灸治療やマッサージ施療によって副作用の無い鎮痛作用や除痛作用、また全身の血流促進効果を有効に身体に作用させていくならば、恐らくこういった血流障害や胃腸障害などの副作用や二次的な弊害をもたらさずに慢性痛への完治を試みていく事も可能になるでしょう。

一般的にはあまり知られていないかもしれませんが、特に鍼灸治療はこれらの慢性痛を伴うような傷病に対して、保険療養が認められています。病院(西洋医療機関)で治療を行っていても完治に結びつかない場合、鍼灸治療も最後の砦として行われているという事実こそ、鍼灸治療が慢性痛に適した治療であることを国が認めているということになるでしょう。

いずれにしても痛みの本質的な部分にスポットライトを当てなければ、薬にせよ東洋療術によっても回復の見込みが無いばかりか、薬にも毒にもならないような気休めでは闇夜のカラスを捕まえにいくようなものではないかと思います。

その本質的な部分をどのようにして導き出していくのか?という問題を解決していくことが、私達のような施療家の役割でもあり、様々な臨床経験の中から導き出されてきた「経験医学的側面」を最大限に有効活用しながらクライアントさん達の慢性痛に対応していきたいと考えています。

痛くて曲がらなくなる膝/マラソン・ランナーの下肢スポーツ障害

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今日は先日ご来院頂いた社会人男性マラソン・ランナーの下肢スポーツ障害の症例について少しお話してみたいと思います。

マラソン・ランナーの方々のなかには、日常におけるランニング練習やマラソン大会などで、いわゆる「下肢の筋肉の肉離れ、筋挫傷」をおこしてしまう方々も相当数いらっしゃると思います。

今回ご来院下さった男性Aさんは「ランニング練習」において「左足ふくらはぎの内側部=下腿三頭筋内側頭部」を昨年傷めてしまったとのことでしたが、患部が治ってからその後に、今度は「右足の膝裏部や膝関節にストレス痛」を発生させてしまったということでした。

ランニングや歩行というのは、「二本の下肢」で行っているので、片方の足の障害が発生し筋力が落ちてしまうと、今度はもう片方の足に関する負担がかかりやすくなってしまい、二次的な障害が発生する確率が高くなるのです。

たとえば野球を例に挙げるならば、肩が痛いのにそれをかばって投球を続けていくと、今度は肘に痛みが続発してくるようなケースも多々ありますが、それと全く同じ道理でスポーツ障害の連鎖反応が起きるということになります。

マラソン・ランナーの方々は長い距離を走る為、特に足のふくらはぎや膝には負担がかかりやすく、走路によってはアップダウンの多いケースもあって、そのようなケースでは特に膝関節への負担によって膝の半月板や靭帯部などにストレスがかかり傷めてしまうケースもあるでしょう。

今回社会人ランナーであるAさんの右膝関節を検査してみると、「半月板」や「靭帯部」に損傷が認められるような状態ではありませんでしたが、膝の裏にある膝窩筋部や大腿半腱半膜様筋、それから下腿三頭筋の内側頭部に筋疲労による過度の筋緊張を認めました。

またAさんの訴えられたお話のなかには、「ランニング練習をはじめて5kmくらい走っていると、徐々に膝の裏に痛みを感じ、そのまま走り続けていると今度は膝の前(膝のお皿のあたり)にも痛みが出てくる。」といった状態のようでしたので、膝のお皿(膝蓋骨)周辺を検査してみましたが、特に炎症徴候も無く圧痛も認めません。

このような現象は「運動時における筋肉・関節の連動性やバランスを欠いた状態を起因とするストレス痛」と云って、安静時にはあまり自覚痛を発生させないタイプの障害です。

スポーツ障害の多くは、その運動姿勢をとらないと「痛みが出ない」ことも多く、障害初期には病院の検査で何も異常が無い場合には見過ごされやすいのです。しかし実はスポーツ障害における痛みというのは「運動によって発生する状態」がまず初期段階には必ずあって、その後に状態がもう少し悪くなってはじめて、安静時の痛みが持続する状態へと移行していく場合があります。

したがって「初期段階の痛みのある状態を早期に改善しておく」ことで、重度のスポーツ障害へと移行せずに済む場合が多い・・・ということになり、それが施療による重度スポーツ障害への予防となっていくのです。

Aさんの右膝の状態というのは、まだ安静時に酷い痛みがわるわけではなく、半月板も靭帯部にも異常が無いいわゆる「中等度のスポーツ障害」なので、今のところ完全に走れないような状態ではありませんが、「長い距離を走るには無理がある状態」ということになります。そしてその状態を改善するために、ここ横浜・多宝堂へご来院頂いた・・・ということになります。

こういった障害ケースで施療を行っていく場合に、私はまず初期目標として「異常のある筋肉を元に戻すため」に施療を行っています。具体的に挙げるならばスポーツ・マッサージを行いながら、患部を中心にその筋肉に関連している身体各部の筋肉の上下左右前後の筋緊張を「均等にする」ことを目的にしながら、スポーツ・マッサージを行いますが、下肢(足)の障害であれば、特に「左右差を均等にすることを目標」にします。

バランスを欠いたランニング・フォームであれば、必ずと云っていいほど下肢の筋肉の緊張状態には左右差が認められるのですが、この左右差が何故発生するのか?という要因には、ランニング・フォームだけでは無く、左右の足の筋力差や骨盤の状態によっても影響を受けやすいのです。

たとえば骨盤が後傾(ふとももの後ろ側に傾いた状態)していれば、ランニングを行う際に、「太ももが前へ上りにくく」なります。すると今度はその分だけ、「ふくらはぎを使って前へ進もうとする」ので、通常よりも「ふくらはぎに負担がかかる」ことになります。

ふくらはぎの筋肉(下腿三頭筋)というのは上下で筋腹から腱に移行し骨に付着するので、上部であれば膝の関節を跨って大腿骨(ふとももの骨)に付着していますし、下部であればアキレス腱となって足部の骨部(かかと)に付着しているので、上下どちらかにストレスが生じていれば、「膝」か「かかと」に「ストレス痛」を発生させていくことになります。

そしてAさんのように「走っていると膝に痛みが出て曲げられなくなるようなケース」の中には、この下腿三頭筋に異常がある場合が多く、膝の関節に異常を認めない場合であれば、まずふくらはぎの異常を取り除くことで改善していくこともあるのです。

ですから今回のAさんの場合には、上部である「膝」に関連している下腿三頭筋(ふくらはぎの筋肉)の異常緊張状態による「関連痛=ストレス痛」によるもので、このような場合には、先に挙げたような施療を初期目標にしながら、早期に改善を図っていくために「鍼治療」も同時に併行して行っていくことになります。

「スポーツ障害における鍼治療の有効性」の中には、「早期に筋肉の異常緊張状態を改善できる」また「局所的な運動時の痛みを早期に改善できる」ことが挙げられますので、Aさんのような中等度のスポーツ障害には最善の「治療法であり改善法」になるわけです。

このようなケースで長期に亘って「湿布薬」を貼って改善しようとしたり、消炎鎮痛剤などが含まれている「軟膏」を患部に塗りながら、なかなか改善しない方も沢山おられるようですが、それは「局所的な問題」だけでは無く、実は上記のような要因によって生じている「筋肉の異常緊張を伴った関連痛=ストレス痛」だからです。

スポーツ障害における中等度の障害の中には、このように薬を用いるだけでは改善しないケースも多く、そういった方々における改善法、治療法の中には「鍼灸マッサージや整体」が一番効果を出しながら、早期にスポーツ競技へと復帰していくケースが沢山存在しています。

私はプロ野球の世界で選手達の様々なスポーツ障害に関する施療を行ってきましたが、その中において一番大切にしてきたのが、「この手で筋肉の状態を感じ取ること」なのですが、それはここ横浜・多宝堂における施療でも全く同じであり、クライアントさんへの施療の中で一番大切にしている要になります。

そしてそういった触知(手で触って認識する)による検査や認識というのは、レントゲン検査やMRI検査、超音波による検査では認識することの出来ない領域であり、中等度のスポーツ障害では実はそこが一番大切な検査領域になっているのです。

人間の身体というのは、おおまかに見れば頭、首、背骨、骨盤という基本軸があり、左右の手足によって構成されています。そして施療というのはその基本軸を中心にしながら、まずそこに異常があるかどうかを見極め、もしそこに異常が無ければ、左右の問題を解き明かしていく・・・というケースが一つと、その反対のケースももちろん出てきます。

そして根本的な問題と局所的な問題・・・・ここを如何にして改善していくのか?ということが、スポーツ障害における早期回復へと結び付けていく一番の道理・道筋になってくるのですが、そこに実質的な経験からくる判断が伴ってはじめて、功を奏するのではないかと感じてきました。

今日はAさんがまた笑顔でマラソンをいつまでも走り続けられるように・・・・そんな思いを込めながら、今日はここで少しお話をさせていただきました。(by 院長)

少年期の野球肘傷害

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先日、高校1年生の男の子A君が施療に訪れてくれました。

まだ中学校3年生の頃ですから数ヶ月前になりますが、当初 野球肘で痛みが有るということで当治療院を受診された際には、肘関節の可動域狭少化や関節面の疼痛の程度など私が客観的に察しても「軟骨部の異常」は歴然としていたのを思い出しました。

施療を施しながらも一緒に連れ添って来られたお母さんには「もしかしたら・・・これは軟骨部が剥がれちゃってる状態かもしれませんね・・・。念のためスポーツ整形外科でレントゲンを撮って頂いてからドクターの診断を受けてみてください。」そう私はアドバイスしたのです。

野球肘というのは特に小学生の高学年から中学生の間に最も発生しやすく、肩関節や肘関節に負担を強いる悪い投球フォームや日頃の投球数過多、それから全身的な筋力の不足などの問題が複雑に絡んで発生していますから、その原因を取り除く段階で防いでいけば、酷い状態にはならないわけです。しかしA君の場合には状態が思わしくなかったため、すぐに病院受診をお母さんにも薦めたわけです。

通常は軟骨部というのはレントゲンには映らないんですが、硬い骨部と柔らかい軟骨の間には骨端部が確認できます。「骨端部離開」といって軟骨部が硬い骨の部分から離れてしまう投球骨折が野球肘の最悪のケースになるわけですが、結果的にA君はこのような状態に陥ってしまっていた為、病院で手術を受けることになったようです。

術後数ヶ月が経過しての来院だったので、患部の腫れは無く、やや伸展制限と前腕部の回外運動に硬さが認められるだけでしたので、手術はほぼ99%成功といって良いと感じますが、いずれにしても少年期に手術を受けるような野球肘障害を起してしまうと潜在的には「投球時に怖さが残る」ということがあります。

これはプロ野球選手に限らずアマチュア選手にも学生野球の選手にも言えることですが、肘関節の疼痛というのは投球に際しては騙し騙し投げ続ける事は絶対に困難です。肩関節の痛みというのは多少庇って投げられるのですが、こと肘の痛みが有る場合に関して言えばそれが無理なのです。

そういう意味でも年齢を問わず手術後の肘関節のリハビリというのは慎重に行われていかなければなりませんし、少年期に手術したのであれば当然「絶対に無理は禁物」です。

例えば投球を開始したときに大切な事というのは、けして早い時期に距離を伸ばそうとしないことです。まず投げるための感覚のうちー指先、手首、肘、肩、肩甲骨、体幹、骨盤、下肢などこれらがしっかり連動していくようにイメージして投球フォームを確認しながらスローイングを行うようにして欲しいと思います。投げる距離は3m~5mぐらい離れたところから網に向って投げるくらいで丁度良いと思います。いきなりキャッチボールを再開してしまうと、相手が離れていってしまったりすると長い距離を無理して投げなければなりませんから、これはno goodです。自分のペースで投げられる「投球強度と距離、球数」を満たす為には「網」に向って「自分のペース」で投げるのがベストです。

初めは2日投げたら1日ノースローにして20球、30球、40球、50球、60球と徐々に投球数を増やしていきながら、今度は3日投げたら1日ノースロー・・・というように連投する日にちの数を増やしていきながら、その後の肘の状態を確認して異常が起きてこないか確認しながら投球練習を行って欲しいと思います。

手術後に投球を再開すると、必ず何度かに一回くらいは痛みや違和感・張り感などを自覚することがありますが、こういう場合以外でも投球リハビリ後には必ずアイシングを10分~15分は行うようにして肘関節の炎症の沈静化を心がけて下さい。そして前腕部や上腕部の張りが少し出てくるようになったら、スポーツマッサージ等で施療を加えながら、関節可動域の確保を行っていくと良いと思います。その際には握力や肩の可動域、インナーマッスルのバランス、肩甲骨の運動性にも注意をはらいながら施療を加えていきます。

通常は病院のリハビリが終わる段階というのは、一応 炎症も無く、患部組織(骨、周囲の靭帯部、筋肉の状態など)に異変も認めず、関節の動く範囲もほぼ8割程度回復してくる頃になると思いますが、ここから先のグランド・レベルで行う投球練習再開の時期が一番慎重に行われなければ成らないリハビリとなります。

これは手術の内容やピッチャーと野手では多少その慎重程度も変化してきますが、10代の場合には大人の1.5倍程度の時間を診ながら行っていく方が私は良いように感じています。

リハビリ期に無理をしないようにしていけば、オペ後の肘関節(骨や軟骨部、靭帯部、周囲の筋肉など)の状態は「しっかりと自分の肘関節に戻って投げても打っても違和感が出ない」ように必ずなっていきます。その時期が来るまでに「正しいフォーム」や「体のコンディショニング」の方を主体にしっかりと行っていけば非常に状態の良い肘で「投球を強く行えるようになる」わけですから、今後も焦らずに行っていくようにして欲しいですね。

学生野球の場合、投球傷害で手術を行って強い投球が出来ないと他の部員と同じ練習が出来ないので「球ひろい」ばかりさせられることもあるかと思います。しかしフリー打撃で打ち放たれたボールというのは、当然 沢山転がってきますから、それを全部投げ返していたら、投げすぎになってしまいます。ですから必ず「球数」を決め、投げる距離も中途半端にやらせないで「何メートルまで」と決めて行わせるようにしましょう。それから必ず投げ終わったら「アイシング」を行わせて下さい。

特に炎天下の真夏日では肩や肘関節に炎症を起しやすいので、投球リハビリ中は投球後すぐにアイシングを行って欲しいものです。炎症が起こっている場合には「何となく重いな」とか「力が入りにくいな」とか「ちょっとツーンとしたような痛みや違和感があるな」といった状態・感覚を感じるものですから、それらの「感覚」を自分で良く確認させて欲しいと思います。

昨日 初施療に訪れてくれたシニアリーグの中学生のお子さんも実は肘の内側に違和感を訴え来院されたわけですが、やや前腕や上腕の張りが認められたものの初期の段階で訪れてくれたので、ほぼ問題ない程度だったのです。

但しこういった「肘の違和感」を通り過ぎ、「痛み」に変わった場合には「すぐに投球やバッティングを中止」するように指導して欲しいと思います。こういうケースというのは意外と稀で、少年期の野球肘の大半が「実はずっと肘に痛みがあったけど、投げられるし打つことも出来たから・・・」と言って、そのまま練習や試合を通常通り行ってしまって結局は悪化してしまった・・・という段階になって来院されることがありますが、肘の場合には「違和感、張り感=炎症」「痛み、関節可動域の狭小化=関節軟骨の異常」という図式で察するようにして、必ず一度プレーを中止させて確認することが大切です。

指導者側の理論として「下半身が強くなれば肩や肘に負担が来ないのですから、その分ランニング練習を多くしっかりと行わせているんですがね・・・」といった反応は多いと思います。しかし実際は下半身の筋力はもちろん大切ですが、体幹(腹筋や側腹筋、背筋、股関節周囲の筋群)筋群はもっと重要なわけです。ランニングばかり行っていても、それらが強化されていかなければ、下半身の力を上半身に上手く活用出来ないわけです。そういう意味でも選手達・・・とりわけ成長期にあるお子さん達への「トレーニング部位の不足」というのは、最もバランスの悪い体を創り上げていく根本となっていくため、野球のように「単方向への力発揮」が多いスポーツであればあるほど体に負担がかかりやすくなる・・・ということを知って頂きたいと思います。

そういった「トレーニングに対する目」を指導者側がしっかりと持たなければ、こういった成長期のお子さん達のスポーツ傷害というのは未然に防ぐ事は出来ない・・・それだけは断言出来ます。

プロ野球の世界では技術コーチ達は必ずトレーナーに「今こういった練習をさせてるんだけど、体的には問題ないかな?」というように聞いてくる人達が大勢います。何故なら反復練習で技術練習を行おうとする場合、「体のある部分、若しくは一部に多くの負担が及ぶ」ことをコーチ自らがよく知っているからです。今までと違う体の使い方・・・すなわちフォームの変更をする場合などでは動作がかなり不自然になる場合がありますから、今まであまり使われていなかった筋肉群が急激に使われるようになって、選手も故障を起しやすいということをコーチは知っているのです。こういった場合でも筋肉が疲労を起したくらいであれば全く問題はないのですが、関節に異常が出てきた場合にはスポーツ傷害に移行する確立が高くなっていきます。

少年期というのは体が完全に出来上がっていない為、これらの影響をもろに受けてしまいますから、「体の状態をしっかり把握」した上で反復練習などを行わせていくことが必要ではないかと思います。

それから一番大切な事は?というのを良くご父兄の方々にご質問されるのですが、当然それは「ウォーミングアップとクールダウン」を選手達が自主的に行う・・ということになります。

このウォーミングアップとクールダウンをしっかり行わせていない、若しくは行えないチームの場合は、まず指導者側が「運動に対する科学的な目」を養うために勉強していくべきです。スポーツを単に「コミュニティーの場」「鍛錬」「勝負」というものさしだけで考えていくと、どうしても科学的な根拠に乏しい指導に成りがちですが、実はスポーツというのは「健康的」に行われていくことが最大限求められるものでは無いでしょうか。スポーツが結果的に「体」を傷めてしまうことに繋がらないためには、やはり「科学的な根拠・裏づけ」が必要なのは言うまでもありません。

子供にスポーツを行わせ健全にスクスクと育って欲しい・・・それが親の心ではないでしょうか?体を痛めてまでも今 行っているスポーツで結果を導き出して欲しい・・・とは思っていないはずです。

ですからスポーツを指導する側にいる学校の先生や監督・コーチ指導者、それからお子さんに直接的な悩みを打ち明けられる側にある親側が行っていくべきことの中にある一番大切な事とは「子供の健全な体をしっかり守ってあげるという意識」と「障害を起さないための知識」を得る事であり、実際の現場でそれらを積極的に用いていくことでは無いかと思います。

この都筑区から少年期の野球肘障害が無くなる日まで、私はこのような事を言い続けると思いますが(笑)、大切な事は「中途半端な対応や反応」を見せないことです。

親も指導者もそのあたりをしっかり確認しあって、子供達の体について日々対話が出来るように・・・またそういった雰囲気を指導者側が創っていくことで、きっと両者の間にしっかりとした絆が形作られていくのではないでしょうか。真に健全なスポーツ活動の場をお子さん達に提供することは難しいと思いますが、それを叶えていく事が少年期のお子さん達に対する親や指導者達からの労わりであり、真の支えであると私は考えています。(by 院長)

坐骨神経痛を治す一番有効な方法

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<坐骨神経痛の患者さんの特徴>

① 腰に慢性的な鈍痛を感じており、おしりの辺り~太ももの裏側や外側に慢性的な鈍い痛みや鋭い痛みを感じている⇒急性腰痛症、慢性腰痛症、腰椎分離症、腰椎すべり症と診断を受けた患者さんに割りと多いパターンの坐骨神経痛。

② 腰にはそれほど痛みは感じないが、おしりの辺り~太もも・ふくらはぎの裏側や外側などに気になる嫌な痛みを感じている⇒腰椎椎間板症、腰部椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症と診断を受けている患者さんにとても多いパターンの坐骨神経痛。腰部ヘルニア・脊柱管狭窄症等で手術を受けた患者さんにも診られることが多い。


 

これまで多岐にわたる傷病を治療させて頂いてきたなかで、とりわけ「慢性的な坐骨神経痛の苦しみ」を抱え、ご来院いただいてきた患者さん達というのは非常に多かったわけです。

なかでも「寝返りが出来ないほどの酷い坐骨神経痛を抱えておられるGさん」のケースでは、ペインクリニックで数回痛み止めの注射を腰に打って貰い、尚且つそれでも日常的な生活にかなりの支障をきたすほどの痛みが残っていた為、病院から処方された「効き目の強い痛み止めのお薬」を一日に数回飲んだり、即効性のある座薬・鎮痛薬を入れても、「ほとんど痛みが変わらない」といった状況の中で横浜・多宝堂へとご来院頂きました。

Gさんのような「慢性的で酷い痛みを自覚している坐骨神経痛」へと至ってしまった要因を考察する中にあって、それと同時に「どのような施療を行っていくことで酷い痛みを早期に消失させることができるのか?」という命題に、これまでも多くの坐骨神経痛に関する症例の中から取り組んできました。

その上で、そのような酷い痛みを抱えてきた患者さんであっても「施療を行っていけば、必ず坐骨神経痛は消失していく。」ということが、施療の結果からまず言えるでしょう。

坐骨神経痛で苦しんでおられる患者さん達の多くは、まず整形外科病院を受診して、精密検査等を受け、その結果、「腰椎椎間板ヘルニア」や「脊柱管狭窄症」、または「腰椎椎間板症」や「腰椎分離症・すべり症」等の診断を受けている場合がとても多かったのです。

その上で、こういった基礎障害を要因として「坐骨神経痛の症状が出ている」と医師から説明を受け、局注治療や投薬、または病院のリハ施設で電気治療等を受けている場合がほとんどだと思いますし、中には「腰の手術を受けたケース」もありますが、これらのような「医療機関における保険治療」をすべて受けてきたにも関わらず、「坐骨神経痛が治らない・良くならないような患者さん達」が、おそらく当治療院を訪ねていらっしゃった・・・そういうことになるでしょう。

さて、こういった患者さん達が抱えておられる「坐骨神経痛」というのは、ある面からすれば「異常感覚」や「神経過敏」とも言えます。その為に日常生活動作の中でちょっとした外部刺激を受けただけでも「おしりや足に激痛」を自覚したり、歩いたり体を動かさなくとも、常に「足のしびれ感覚」や「重だるいような感覚」を自覚している場合が多いものです。

そういった患者さん達は「酷い痛み」や「何とも表現のしようのない嫌な感覚、気になる感覚」といったものを訴えられるわけですが、これらの感覚は脳で感じているものですから、目に見えるような客観性があるわけではありません。要するに外から他人が見ても、痛みの程度というのは判断できないのです。だからご本人にとっては一番辛いものとなるのでしょう。

要するに「おしりや足の辺りに感じている痛みの辛さ」も「違和感」も個人的には実感としてあるけれども、いくら病院で検査を受けても、「痛みそのものを客観的に視認する」ことは不可能なわけですから、そうなると「その感覚のみを押さえ込む為に何とかしなければならない」ということになってきます。

そうなれば病院の先生は痛み止めの注射を腰に施したり、電気治療を行ったり、痛み止めのお薬を処方したり、まれに腰部の検査画像にヘルニアなどが見つかれば手術を行ったりしています。そのような方法でしか坐骨神経痛の治療法が無いわけですから、皆さんはそのような治療をひとまず全て受け入れている・・・そういうことになります。

しかしそれでも「酷い坐骨神経痛が治らない・・というのは何故なのか?」ここが一番重要な問題提起となってくるわけです。

そこで・・・そういった患者さん達が「あそこのハリ治療って効くらしいよ・・」という噂話などを聞いて、ここ横浜・多宝堂へと訪ねていらっしゃいますが、患者さん達の多くは、これまで「ハリ治療」を受けた事がありません。だから多くの方々は、「痛みのある部位にハリなんて刺して痛くないの?」「もっと痛みが酷くなるんじゃないの?」といった個人予測や不安をもちあわせてやってくることになります。本当はぜんぜん大丈夫なんですが・・(笑)

しかし一度ハリ治療を受けてみれば判ると思いますが、けしてハリ治療は「怖くない」のです。言葉を変えれば「痛みを感じている人ほど、ハリ刺激に対する感覚は鈍くなっているので、ハリ治療が心地よい。」と実感されて皆さんは驚かれているのです。ここがなかなか理解されていない部分になるわけですね。

だから酷い坐骨神経痛を抱えておられる方ほど、「ハリ治療は感覚的に優しく心地よい感覚の治療である。」ということになるのですが、酷い坐骨神経痛の出ている方ほど、痛みのある足をマッサージすると、たとえ弱い刺激であっても「通常以上に痛みを感じる」わけです。

坐骨神経痛をマッサージ屋さんに通って治そうと試みている方々にお聞きしてみれば良くご理解できると思いますが、それによって「大いなる誤解を生み出してしまう元凶となっている」と言わざるを得ないのです。

いいですか・・・坐骨神経痛はマッサージで治そうとすると「強い痛みを感じます」が、ハリ治療ほど「心地よく感じる」ので楽に治療を受けられるんですよ。ここをよく覚えておいて下さい。

何故?そうなるのかと言いますと、一つには神経痛の出ている○○神経領域の筋肉の状態にも一つの要因があるわけです。○○神経領域の筋肉は○○○を起こしていますから、マッサージ刺激に対して抵抗力が失われています。だから痛みを感じるのです。

しかしハリ治療は、まず○○○を改善するのに一番有効な治療法ですから、○○○が早期に改善されていくので、その後にマッサージを受ければあまり痛みを感じなくなっていきます。すると日常的に感じてきた酷い坐骨神経痛も同時に「感じなくなっていく」わけです。

ということは・・・「○○○を改善していけば、坐骨神経痛は早期に消失していく」ということになるわけですけれども、それでは○○○は「ハリ治療でなければ改善できないのか?」という問題も出てきます。他にもっと良い改善策や早期に改善できる方法は無いのか?ということです。

病院では電気治療や腰の牽引などを行っていますし、運動療法を取り入れたりもしています。マッサージや温熱療法を行う場合もあるでしょう。しかしあまり痛みが良くならない変わらないからこそ、こうして「ハリ治療を受ける」ために、患者さんがやってくるのですから、これまでも様々な治療を受けてきたわけです。それでも治らなかった坐骨神経痛が「ハリ治療」で治っている以上、それはやはり○○○に対しては「ハリ治療が一番効果を発揮できる」からに他ならない・・・そういうことではないかと思うわけです。

少し逆説的なご説明になりましたが、この○○○は手術では治せませんし、ましてや鎮痛剤を長期にわたって飲んでいれば、○○○はどんどん酷くなるばかりです。だからそのような治療を続けてきた方ほど、余計に坐骨神経痛が酷くなってしまった・・・そうとも推測できるのです。

私はGさんの症例から、この○○○を改善していけば、「坐骨神経痛は治る」と確信しましたが、もちろん、そのような要因以外で坐骨神経痛が酷くなっているような患者さん達もお見えになってきました。

たとえば・・・
腰のヘルニア除去手術を受けたにも関わらず、その後も坐骨神経痛が残っている方。
腰の脊柱管狭窄症で手術を受けたにも関わらず、その後も坐骨神経痛が残っている方。

もちろんこれらの方々の腰部の手術は、医師から「成功しています」と、そう説明を受けています。失敗ではなかったわけです。しかし坐骨神経痛だけは治っていないので、原因は「腰部の異常によるものでは無かった」か「脊髄レベルの問題があったから」ということでしょう。とにかく腰部の異常は手術で完全に治っているけれども、坐骨神経痛の問題は残されている・・・そういうことになります。

そしてそういった患者さんの特徴として一番に挙げられるのは、「腰にはほとんど痛みが無い」のです。しかし坐骨神経痛はあるのです。おしりから足にかけては痛んでいるのです。これが大問題なのです。

そういった患者さんの場合、もちろん坐骨神経痛の一要因として○○○が残されていますが、もう一つの重要な問題が残されています。それは○○と○○の○○性です。

このような腰部の手術を受けた患者さんの背骨や骨盤を外側から眺めると、ある特徴があることに気がつきます。前後・横方向から良く眺めてみましょう。間単に言ってしまえば、「○○」に特徴が認められるのです。

だからこのようなケースの患者さんの場合には、ハリ治療である程度まで痛みが消失しても、完全に消失させていく為には○○の問題も同時にクリアしていかなくてはなりません。そうでなければ神経痛が治ってからも再び再発してしまうことになりかねません。

手術を受けていない方の坐骨神経痛よりも、手術を受けた方のほうが治っていくのにやや時間を要するケースが見られたり、再発を繰り返すケースが多いのは、この○○の問題が根底にあるからでしょう。

そしてこの問題は、実は普段からの○○法や○○の持ち方にも関連性がありますから、もちろん改善させることは十分可能であると言えます。要は患者さんの○○を変えればよいだけなのです。

最終的には○○を安定させる為に、○○の強化をコンディショニングとして日々の生活で取り入れていけば、腰痛や坐骨神経痛を再発させずに生活を営んでいくことが出来ます。ただし、まず坐骨神経痛を鎮める為にはハリ治療を先としなければならないということです。そうすれば次のステップとしてコンディショニング法を早い時期から行えるようになっていくわけです。

いずれにしても、まず「坐骨神経痛にはマッサージ療法よりもハリ治療の方が痛みの改善には有効であり、心地よい感覚で治療を受けられる。」ということであり、外科手術を受けた方で坐骨神経痛が残っている方においても、ハリ治療は等しく有効であり、その上で○○を改善していけば、その後に良い状態が長期に渡り維持されていくことになるわけです。

今日は坐骨神経痛とハリ治療の有効性についてやそれらに関連する私的考察(○○○等はもう少し確証が出た際、いずれ明確にしたいと思います)について少し触れさせて頂きましたが、坐骨神経痛を抱えておられる皆様の一助となれるよう、今後も様々な角度から坐骨神経痛に関する考察を続けていきたいと考えております。それでは。(by院長)

鍼灸の科学<医療の未来を開く為に>

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今更ここでお話しすることでもありませんが、鍼灸治療による痛みや傷病への効果効能を実感したとしても、体に大きなダメージを蒙るような副作用などを体感したことは一度もありませんでした。今まで多くのクライアントさんに行ってきた鍼灸治療で感じてきた事の中で、まず一番に掲げられるべきものは「鎮痛効果」ではないかと思います。

鍼(ハリ)の鎮痛効果は既に20世紀に実証済みです。彼の中国において薬剤による麻酔を一切使わずに、患者さんの身体に鍼を打ってから低周波通電することで麻酔効果を実証しながら実際に開頭手術をやってのけたのは有名なお話です。また鍼麻酔の方が全身麻酔よりも術後の創傷の治りが早く、免疫系、自然治癒力の増大なども証明されています。アメリカもこの事実を知っているが故に、最近では癌患者さんへの代替補完医療として鍼灸の併行治療を行う病院も少なくありませんし、保険の適応も認められているのですから、日本はまだまだ遅れているのかも知れませんね。

人間の体に生じる「痛み」とは、ある面においては「危険信号」である場合もありますし、そうではなく慢性痛のように「神経回路の整合性を失ってしまった状態」である場合もあります。例えば足首の捻挫をすれば関節の周囲に炎症が起こりますから、そこには痛みの物質が放出されます。しかし炎症が引いてくれば自ずと痛みの物質も放出されなくなりますから、月日が経過すれば痛みも治まってくるのです。こういう痛みは「急性期」に無理をしたり間違った対応をしなければ多くの時間を経ずに緩和してくるものなのです。

ところが慢性痛(原因の判らない長期間にわたる痛み)というのは、病院に行っても原因が特定されないので、医療機関としても対応のしょうがありません。こういった慢性痛のような原因が特定されていない痛みに一番対応して効果を上げられるのが鍼の鎮痛効果でもあります。

鍼を体表に打つと何故それだけで痛みが引いていくのでしょうか?

私もこの道に入る前は不思議で仕方がありませんでした。ところがNHKの科学番組の中で「鍼」を用いた「ある実験」を行っていた番組を見て、一目瞭然で痛みが取れていく原因が判ったのです。

皆さんは温泉で体を温めていくと、どのような体感がありますか?まず「体を温める」と非常に心地好いというか気持ちが良いですね。のんびりと温泉に浸かっていると、フワッとしてきて体の中の血液が全身に汲まなく流れているような感覚が伝わってきませんか?その「血液が全身に汲まなく流れている」ということと「心地よい」というのは一体どこから来ているのでしょうか?そこが一番のポイントになるのです。そのNHKの科学番組で行われた実験というのは、「ラットの体表に鍼を実際に打って、ラットの血管を流れている血液の状態」を観察したものだったのです。

ラットが何も体表に刺激を受けていない場合には、通常通りのスピードで血液が流れていました。ところが体表に鍼を打って血管を観察してみると、何と血液の流れが早くなっていくのが観察されたのです。そのスピードは通常の血液循環のスピードの「約10倍の速度」に変化していったのですが、実はその状態が10時間ほど持続していたのです。これには私も驚きました。

血液の流れが速くなるということは、所謂一般的な言い方に変えれば「新陳代謝が良くなっている」ということになります。

私も常々実感してきましたが、クライアントさんに鍼施療を行っていくと、必ず体表から汗が滲み出てきます。もちろんその汗の出方にも様々な形態がありますが、いずれにしても体内の血管を流れている血液循環のスピードが増す為に汗が出てくるわけですから新陳代謝が促進されているのは一目瞭然です。

このようなラットの実験でも鍼による生体反応の科学的な側面を理解することが出来るのですが、もちろん人体に関しても同じような現象が体内で起こっている・・ということになります。そして「痛みの物質」がある部分から放出されているとしても、その痛みの物質を血液の循環によって洗い流してしまうことが出来れば、そこに痛みの感覚自体が薄れていく・・・ということになります。

ただし痛みが無くなる・・・という事が良い場合と、そうでは無い場合もある・・ということを考えておくことは大切なことです。例えば捻挫の腫れが引いて痛みが徐々に薄れてきたとします。しかし靭帯の損傷程度や関節の緩み具合などを考慮すれば完全復帰までのリハビリ期間に時間を取らなければ、再発の危険性が伴ってくるというリスクも考えなければなりません。だから鍼を打って痛みを緩和させることが例え可能だったとしても、ある期間は運動を抑制する必要もある・・・ということですし、痛みさえ引けばそれで良しと出来ない傷病もあるということになるのです。ところが「慢性痛」のように原因が特定されておらず日常生活の中で常に痛みを自覚しているような場合は別になってくるのです。

とにかく一刻も早くこのような「原因の解らないような痛みとは決別したい」と思っている人達こそ是非鍼を打ってその鎮痛効果を体感して欲しいと思います。

鎮痛剤のような薬で痛みを抑えていても、実際は薬が切れたら痛みがまた増してくるはずです。鍼はその鎮痛効果の持続性を伴いながら、日常における痛みの質にも変化が現れてきますが、ハリによる一番有効な点というのは「副作用が全く無い」ということなのです。鎮痛消炎剤は「血液循環を抑制」してしまうものなので、慢性痛に対して長い期間使用してしまうと全身的な血行不良を起していくそうです。

もしそのような状態に陥ってしまえば慢性痛が引かなくなるのは目に見えています。何故なら痛みの物質を洗い流せなくなる(要するに血液循環が悪い状態ですね)ような状態を導き出してしまうのですから、どちらが体に優しい効果を見出せるかと言えば、長い目でみれば鍼に軍配が上ってしまいますし、そのような鍼の効果の中で体質改善へと繋がっていくならば、それ以上の面も強調することが出来るのです。ただし局所的な激痛があるような場合には、その痛みを抑えなければ血圧が上ってしまうとか眠れない・・といった事で、二次的な弊害を発生させてしまうようなケースでは一時的な痛みの回避方法として鎮痛剤等を利用すれば良いのではないかと考えています。

神経というのは興奮すればするほど痛みを自覚しやすくなりますが、慢性痛というのは、その痛みの性質上、痛みを感じている神経領域の皮膚面や関節などを過度の過敏症に招いてしまうことが多いようです。過敏になった皮膚面や関節というのは、たとえ軽い刺激であっても(例えば軽く触ったり、体重がかかっただけでも)強い痛みを感じるようになっていくことがありますが、これは痛みの物質が絶えずそこから放出されている・・・というよりは二次的な神経障害が根本にあって、実はその痛みの根源というのは「脳に記憶されている痛み」ではないか?とも最近言われています。

ようするにケガをしたときなどに長い間そのケガの痛みを我慢して生活してきたことによって、痛みの記憶が脳の記憶域に刻まれていく・・・ということが考えられるのだそうです。その脳に存在している痛みの記憶が変容しながら、身体各部に送られていくので、痛みの場所は様々なところに飛んでいくようになります。

だからある日は首が痛い・・と思っていたら、今度は腕の方に痛みが出現してきたりと、自分では原因も判らないし何も覚えが無いのに色んな場所に痛みを自覚してしまうというのです。こういったことから痛みを長い間に亘って我慢してしまうと慢性痛を引き起こす最大の原因になってしまうのではないか?と言われているのです。

このような「脳への痛みの記憶」というのは、全身の神経回路の交信異常や反応を見せて様々な悪影響を体に引き起すので、これが一番厄介な痛みの現象を生んでいくようです。

人間は痛みを感じていれば無意識にでも防衛反応を身体に引き起します。そういった痛み自体が大きな精神的なストレスとなって、首や肩、それから背中や腰などに過度の筋緊張を伴うようになります。しかし鍼灸マッサージのような適度に心地好い刺激が体表から加わることによって、興奮した神経が沈静化され、全身の筋肉が柔軟性を増していくのですが、それこそが鍼灸療法やマッサージ療法の一番有効なポイントとなっていくわけです。

温泉に入っていると心地よいのは何故ですか?とはじめに質問しましたが、これは体を温めることで全身の血液循環が良くなって脳にも血液が沢山運ばれていくからです。脳に血液が滞りなく運ばれていくと一体どのような現象が起こっていくかというと・・・「心地好い」という感覚が生まれるからには、そういった快感を感じられるような物質が脳内で分泌されているからだ・・・ということではないでしょうか。

鍼の効果というのも実はこれと同じような作用があって、鍼を体表に打った刺激が皮膚面を介し、それが脳へと伝わり脳内で快感ホルモンを促しているのではないかとも考えられているのです。快感を感じるホルモンには「β(ベータ)エンドルフィン」というホルモンがありますが、実は鍼を体表に打つことで脳内にこういった脳内モルヒネ様ホルモンの分泌が促されているのではないか・・とも言われています。

ランナーズ・ハイのように、ある程度長い間に亘ってランニングを継続していると「走るのが快感になってくる」と言うのは「Βエンドルフィン」が脳内で分泌されているから・・・というのは以前からも科学の世界で言われ続けてきたことですが、鍼の効果というのは、その刺激そのものが体表を介して脳に伝わっていきながら、その電気的な信号が脳にインプットされることによって、こういった快感ホルモン(神経伝達物質)や麻酔様ホルモン(神経伝達物質)の放出が脳内で起こり、その反応として局所的又は全身的な鎮痛効果を促進しているのではないかというものなのです。

更にラットの実験結果でもお話ししたように、全身的な血液循環の促進によっては全身的な免疫機能の環境改善を整えていく働きがありますが、そういったことが患者さん達の自然治癒力を増進しながら、多くの病気の治癒に対する大きな貢献をしてきたのではないかと思っています。

歴史的に見ても鍼灸の効果や効能の方が先に様々な形態で掲げられておりますが、実はその反対に科学の方がその鍼灸の道を探る事によって、そこから様々な効能効果の諸原理を説き明かそうとしてきたのです。

恐らくこれからも様々な事象を検証しながら科学によって鍼灸という東洋医療の実像が解明されていくことだと思いますが、現時点で鍼灸が癌などの進行病変などに対して、どのような手技手法によって最大の効果を発揮していけるのか?ということを含めて、これから先の東洋医療の最課題の一つであると私自身もずっと考え続けてきたのです。(by 院長)

スポーツによる肩関節障害&野球肩<器質性障害と機能性障害>

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野球肩及び肩関節スポーツ障害の中で【器質性障害】というのは簡単に言ってしまえば、筋肉を傷めていたり、腱や靭帯が切れていたり、骨や軟骨に損傷がある・・・ということです。

こういった器質的障害が疑われたケースでは、初めて受診し診断を受ける為の病院(医療機関)の選択は最も大切な局面になります。特に整形外科医の中でも「スポーツ整形外科医師」を受診するようにして、その際にも病院の設備面で「MRI」など精密検査機器があるかないか?を確認しておけば、何度も受診に赴かなくとも、損傷部位を早期に判断できるということは、一番の利点ですが、その後の選手への静養のさせ方やリハビリに関する大切な判断や対応においても正確な診断は絶対に欠かせないものとなります。


西洋医学では、まず画像検査があって、その画像からの診断によって詳細な関節障害の情報が得られます。ですから当然必要な検査機器が揃っていなければ確実な診断が出ないこともありえますし、その画像から診断(判断)するためには医師個人の肩関節障害に関する臨床経験値というものも非常に大切な要素となってくるのではないかと思います。

これは外科医の先生も内科医の医師も同じですが、各医師には「専門分野」というものがあります。

たとえば整形外科の先生でお話すれば、「脊柱(背骨)専門の先生」もいらっしゃれば、「股関節、膝関節専門の先生」や「上肢(肩や肘や手首など)専門の先生」といった、専門分野を担われているので、それぞれの先生によってそれぞれが得意分野が分かれている・・ということになります。

ですから、肩や肘、または手首や手などを痛めて病院を受診される場合には、「上肢専門のドクター」若しくは「スポーツ障害肩、スポーツ障害肘の専門医」をまず探して受診する方がより確実に正確な診断・判断をして頂ける可能性は高いと言えるのではないかと思います。

スポーツで肩関節を痛めて、肩関節そのものに器質な障害があるのか?ないのか?といった情報を得ていくためには、上記のような観点をまず考慮して問題をクリアしていく必要もあるわけです。

次に【機能性障害】とは、筋力の低下、肩関節周囲の筋疲労から起こる筋出力の低下、それから全身的な面から言うと、下半身(膝関節や股関節など)のパワー不足、体幹筋(腹筋、背筋など)のパワー不足、それから上半身の各関節の柔軟性不足などによって「肩関節」を投球時などに上手く動かす(働かせる)ことが出来ない・・・という「各関節の連動性」や「下半身・体幹、そして上半身の連動性」に問題があるといった、体全体の影響を含んだ形態の肩関節障害である・・・ということになります。

この中にはもちろん、「インナーマッスルの機能低下」も含まれてきますが、もしインナーマッスルの機能に問題が全く認められなくとも、その次には一般的に多い問題である「投げすぎ」や「肩の疲労、全身的な疲労」の問題も残されている可能性があります。


またインナーマッスルの弱化が肩関節の痛みの誘発原因であるとしても、ローテーターカフ運動を毎日しっかりと行っていけば、肩の持久力も徐々に上ってくるはずですが、しかし日常的に肩のコンディショニングを普段から行っていたとしても、肩の疲労そのものが全身疲労の一部分だとすれば、やはりただ肩だけを休めたりケアを行っていても『問題が解決されないケースもある』ということなのです。

ですからプロ野球の世界でトレーナーが選手たちに対して普段から行っているスポーツ・マッサージ・・・というものも全身的なコンディション調整に関する有意義な一つの方法論であるとも言えるでしょう。
プロ野球界に多くのトレーナーが存在してきた理由とは、そういった疲労を伴った肩や肘をそのままにしておくと、「肩や肘の関節に故障を来たしてしまう」という現実があったからこそ、その必要性によって専属トレーナーを徐々に増やしていきながら選手の故障を未然に防げるような体制を整えていった部分も少なからずあります。

またその後にコンディショニングやトレーニングというものの科学的根拠に基づいた方法論を取り入れながら、技術指導者の我々に対する理解も同時に得られたからこそ、二重、三重で故障予防策を立てて現在のようなプロ野球の世界が構築されてきたのではないかと感じてきましたし、近年では栄養学・食育を取り入れた形で「健康保全と故障の予防」にまで、その指導管理体制を充実させているわけです。

筋力というのは鍛錬すれば確かに強くなりますが、疲労を起こしている肩関節に対して負荷(強化)ばかりをかけてしまえば、将来的な意味では強化に値する可能性もありますが、現時点においての疼痛緩和には直接的には結びつかないケースもある・・ということを頭に入れておく必要もあるでしょう。

野球選手達は日頃の練習の中で多くの投球や打撃練習を繰り返しており、そういった練習によって全身的な筋疲労の蓄積が過剰になっている場合があります。特に学生球児達の中にもそのような徴候があるので、やはりその上からも選手達の故障を如何にして防いでいくのか?ということは現場でも色々な考え方で指導を行っているのではないかと思います。

肩関節というのは周囲の筋肉に守られ保護されておりますが、日々の練習から培われていくものもあれば、その反対に失われていくものもある・・・という事が言えるでしょう。

まずその一つが「筋肉や関節の柔軟性」です。

この柔軟性という簡略化された言葉の中には「肩関節の関節可動域(ROM)→腕の動く範囲」と「筋肉の柔軟性」の二つの意味が含まれてきます。

「肩関節が柔軟である」・・・というのは、実は元々生まれつき持っている遺伝的要素でもありますが、例えばダルビッシュのように腕がムチを打つような投球が出来るのも、生まれ持った「肩関節の優れた柔軟性がある」ことによるものだと考えられるからです。

ファイターズの大谷選手、ライオンズの菊池投手も実は優れた肩関節の柔軟性をもっているわけですが、これらはまず遺伝的に獲得している・・・つまり生まれ持った体質として考えられるわけです。

もちろん投手の中にも肩関節のやや硬い選手は存在していますが、全体的に見ても投手達の肩関節の可動範囲は野手に勝っているものですし、もし投手の肩関節に柔軟性がなければ、あれだけの投球数やスピード・ボールは投げられないのではないかと考えます。しかしその反対にあまりにも肩の柔軟性が過度であれば、投球でもバッティングでもそれが弊害となる可能性も出てきます。

肩関節というのはスローイング動作の中においてはまず柔軟性が優れており強いボールを投げることに対して更に耐性があれば「強くしなやかである」ということになります。またバッティング(スイング)動作の中において肩関節の柔軟性と固定性が更に優れていれば「強くしっかりしており、しなやかである」ということになってくるでしょう。

そういった固定性と柔軟性の両側面のコンディションが個人個人の選手にとって適切な状態であれば、「野球肩には成りにくい」という面を強調すれば、こういった説明になるわけです。

この固定性と柔軟性という二つの要素がバランスよく保たれていれば、野球のようにボールを投げたり、バットを振ったり、ボールをキャッチしたりする動作の中では「好都合であり、故障を未然に防げる状態にある」ということになってきます。

しかしまず成長期にあるお子さん達がこのような状態に導かれていく為には、体がある程度大人の体格に近づいていく必要性もあります。

そういう面からすれば、高校生の時期というのは一番大切な岐路に立っている・・・ということになりますが、この時期に肩や肘を酷使し過ぎて将来的な野球活動への支障とならないためには、まず各野球協会によって、特に投手に対する『投球数制限に関するガイドライン作り(規定)』が挙げられるでしょう。

現時点において各野球協会による投球数に関するガイドラインは徐々に作成され定義されてきておりますが、それらに準じて、少年野球チームにおける指導の際には「正しいスローイング・フォームの指導をまず徹底して行うこと」及び「練習内における投球数の管理」も並行して行っていきながら、成長期における少年達への肩や肘に関する障害予防をまず大前提として指導者層における障害やトレーニングに関する勉強会・講習会などを各野球協会が主体となって実施していくことが望ましいのではないかと思います。

野球肩や野球肘というスポーツ障害の元を正せば、「悪い投球フォームの継続」と「過度の投球数」によるものがその原因の大半ですが、もう一つは指導者におけるトレーニング法・コンディショニング法やその他の練習内容に関して何らかの不備があるとも考えられます。もちろん成長期段階におけるお子さん達の身体的な発達状況や遺伝的な要素にも要因があると言われておりますが、それらの事をもう一度深く見つめながら、野球肩や野球肘を未然に防ぐことへの重要な課題といったものを今後も皆様と共に考えていきたいと思っています。(by 院長)

スポーツによる肩関節障害&野球肩 <種類と判断・対応・処置>

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今日は「スポーツにおける肩関節障害」に関して、まずは一通り書き記しておこうと思います。

肩関節というのは非常に複雑な構造をしているので、多岐にわたる障害が認められています。特に野球のスローイングに関わらず、あらゆるスポーツ選手に肩関節障害は見られますが、肩関節スポーツ障害の一番厄介な点は、日常的にそれほど困ることがないとしても、特定のスポーツ動作の中では確実に痛みが誘発されてしまう・・・ということではないかと思います。

またスポーツをプレーしながら肩を痛めたあとに、医療機関(整形外科など)を受診し治療を継続しても、完全復帰出来る場合とそうでは無いケースもあって、それは治療(投薬・注射・手術・理学療法)による対応だけでは不十分で、完全に傷めた肩関節の状態を回復させられない・・・というケースもなかには含まれてくるからではないかと思います。

実際にプロ野球の世界で私が感じたことは、特に関節障害の中でも野球肩(肩関節障害)の発生率が非常に高かったということですが、これはもちろんスローイングやバッティング、それからスライディング時や守備の際の転倒など選手達が肩を痛めてしまう多くの要因が野球というスポーツ自体にあったからに他なりませんし、肩関節の構造自体が複雑かつ様々な機構によって維持されているから・・・根本的にはそういうことだと思います。

肩を痛めて対応する際、まずその肩関節に関する障害の種類、また各種対応方法を理解
しておく必要があります。そして自分自身で可能な対応は自らが行っていくという事も大切でしょう。もちろん各種肩関節障害を回復させられるだけの休息期間も当然ですが大切な要素に入ってきます。

横浜・多宝堂治療院でも肩関節スポーツ障害に関する施療を沢山行ってきました。プロ・スポーツ選手・アマチュア学生選手、少年期の選手では、発生機序にやや違いも感じてきましたが根本的な肩関節障害におけるタイプに大きな違いがあるわけではないようでした。

ただし少年期(成長期)と成人期では、障害程度に違いが見られたり、気をつけていく部分に差異がありますので、それは他のブログ記事で触れています。

それでは一般の方が読んでも、多少の理解と認識を得られる程度に記してありますが、こういった「肩関節の障害がある」ということだけでも、まず頭の中にとどめていただきながら、その後の道筋をご自身でも判断できるようにヒントを交え書いてみたいと思います。

これらの
情報を得たとしても、確実に肩の障害を完治させられない場合も出てくるに違いありませんが、それは完全治癒の道筋の中で「何か足りないものがある」ということになってきます。

ここは一番重要な点になりますが、そのポイントを押さえた状況の中で医療機関による治療、または経過観察、そして我々が普段から日々行っている施療等も含めた形でアプローチをしていくことで解決する場合も多いようです。

もっとも数週間、肩を完全に休ませて治ってしまうような障害であれば、それほど心配はないと思いますが、まず肩に痛みが出てから1~2週間程度は肩を休めてみてください。筋肉・関節の軽い炎症程度であれば、休息とアイシング(肩を氷などで冷やす)、それからマッサージやハリ治療等で簡単に痛みが緩和していくはずです。しかしそれ以後も肩に痛みがあれば「軽い炎症だけでは無い可能性」もあります。

それ以前に、「腕が上に上がらない」または「腕を頭の上の方へ上げようとすると激痛がある」といった場合には、まず一度、医療機関(スポーツ整形外科の肩関節専門外来など)で診察・精密検査等を受けて下さい。

スポーツ整形外科でMRI検査がすぐに行えるのであれば、担当の医師にお願いをしてMRI検査を受けてみてください。器質的(筋肉や腱・靭帯・骨など)な異常があれば必ずMRI画像上に異常が認められます。精密検査等の必要性も含めて、スポーツ整形外科の肩関節専門外来を受診した方がやはり専門性にも優れており、確実な診断が出ますし、適切な対応を受けることが可能になる・・・ということです。

またレントゲン検査で診断が出ないようなケースであっても、その後に経過を1、2週間程度安静にしてから肩の痛みを誘発するスポーツ動作を行って、再び確認してみる・・・という経過観察は大切になってきます。痛みがあれば、それはまだ完治とは言えません。

そこでもまだ痛みがあって、その後に精密検等を受けても器質的な異常(筋肉や靭帯、軟骨などに異常が認められない)が無いようなケースの障害であれば、「機能的な問題」が根底にあるということも考えてみる必要性があります。


野球で肩を痛めてしまう根本原因と改善法・対処法
スポーツによる肩関節障害&野球肩/器質性障害と機能性障害では、その辺について実例をもとにお話をしております。

また「野球肩障害のご相談と大切なこと」では、肩関節障害におけるエピソードを、「少年期の投球における肩関節障害の予防と投球肩の大切な要素」では、おもに少年期のお子さん達に関する重要なテーマの中からお話をさせていただきました。



横浜・多宝堂治療院では完治に至るまでの施療、機能回復訓練、日常的なコンディショニング法など、プロ野球選手達の治療経過の中から導き出してきたノウハウを用いながら現在の症状や障害、また年代に合わせて対応していきます。



1.肩の痛みの原因が判らない

2.病院で検査して貰っても何も診断がつかない

3.病院などでリハビリへ通っても肩の痛みがなかなか良くならない

4.治すためのハウツウ情報を見たが対応法がよく解らないので正しく対応できない


実はこういった方々もいらっしゃるようですので。そのようなクライアントさんをまず理解した上で、完全治癒への対応を行って参ります。
是非一度ご相談下さい。(by 院長)



それでは今回は一般的に「野球肩」と呼ばれているスポーツ障害に関して、様々なタイプから症状を認識しながら、野球に即した各肩関節障害への考え方や判断・対応について簡略化してお話してみたいと思います。



上腕二頭筋長頭腱炎(じょうわんにとうきん・ちょうとう・けんえん)

間違った方法によるウエイト・トレーニング、それからバッティング練習の片手打ちの反復練習過多など、主に上腕二頭筋に対する過負荷や急激なストレス、疲労からも多く発生しています。

バーベルを体の前側で持ち上げようとすると「肩の前方部」に痛みが誘発されます。投球加速期に痛みが誘発されやすい障害です。

局所の安静と上腕二頭筋全般の緊張をまず取り除いて筋柔軟性を回復させること。また肩甲帯を含め肩関節の可動性正常化を確保していきます。



インピンジメント症候群(いんぴんじめんと・しょうこうぐん)

一般的には「ルーズショルダー」といって肩関節の不安定性から生じることの多い障害です。

成長期のお子さんの大半がインピンジメント症候群によるものだと考えます。

スローイングの際に肩関節の中が「引っかかるような感じがする」とか、「何かが挟まっている感じがする」とか「ゴリっ」と音がする・・といった感覚がある場合にはインピンジメントが生じている可能性が高いと思います。

肩関節可動性の正常化、インナーマッスル強化、その他、体幹強化や股関節の柔軟性に関してもアプローチしていく必要性があります。大きく見れば投球フォームの改善も必要になる場合が多いと思います。

肩関節周囲を含めた上半身の筋全般の柔軟性を施療によって得ていきながら、上記の訓練を行っていくことになります。また炎症性疼痛が酷い場合には、まずハリ治療で痛みを緩和させていきます。



腱板損傷(けんばん・そんしょう)

肩関節の安定化に欠かせないインナーマッスル(肩腱板筋→棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋)を傷めてしまう障害です。投げすぎ、間違った投球フォームで起こる確率は高くなります。

腕の挙上困難(腕を頭の上のほうまで上げられない状態)が認められる場合には、腱板断裂も視野に入れておく必要があります。炎症程度であれば「腱板炎」、軽度の損傷があれば「腱板損傷」、腱板筋に断裂があれば「腱板断裂」ということになりますが、これらの障害程度によって回復期に違いが生じます。状況に応じてスポーツ整形外科・肩関節外来等を受診して精査を行って貰いましょう。

腱板炎から軽度損傷の段階であれば、鍼灸スポーツマッサージによって治癒期間を早めることも可能です。まずはインナー機能等を含めた、回復訓練を同時に行っていきます。



肩峰下滑液包炎(けんぽうか・かつえきほうえん)

肩の関節の動きがスムーズに動くために「滑液包」という部位から「滑液」が出てきますが、この「滑液包」という場所に炎症が起こってしまう障害です。

野球などによるスローイング動作やバレーボールなどのスパイク動作、それから水泳のクロール動作やバタフライ動作などのように、腕を大きく回す動作によって炎症が生じるようになるのですが、一番の原因としては肩甲骨運動が抑制されてしまった後に、肩関節の動きが悪くなっているにも関わらず、こういったスローイング動作やスイム動作、スパイク動作を継続していると発生しやすくなります。

腕を真横に上げていくと痛みが強くなります。進行した状態では、肩を動かすのが困難になります。まず安静が必要です。安静時の炎症性疼痛が緩和するまでに1週間~数週間以上持続するケースもありますが、受傷数日後から鍼治療を行えば炎症性疼痛に伴う筋拘縮を防ぎながら安静時の痛みも割りと早期に緩和してくると言えます。

ただし重症化している場合は外科的手術が必要なケースもありますので、疼痛が持続し関節が動かせない期間が長くなっているのであれば、スポーツ整形外科の肩関節外来等を受診・精査を受け、専門的な治療を受けた方が良いケースもあります。



棘上筋腱炎(きょくじょうきん・けんえん)

一番多いのはインピンジメント症候群に陥っている状態で、そのまま無理をしていると肩のインナーマッスルのうちの「棘上筋」という場所に負担が起こり炎症を起こしていきます。

またスローイング動作ではこの「棘上筋」を損傷してしまう場合が多いのですが、腕を上げようとすると「抜けるような痛み」が誘発されます。

まず安静、アイシング、腕を上げる動作は痛みが引いてくるまで行わないことです。2,3週間の経過を見れば通常は改善していきますが、インナー強化も並行して行う必要があります。

投げすぎなどの要因があった場合には、特にスポーツマッサージで肩を含めた身体全般の疲労を取り除いていくと肩の回復が早くなります。また炎症性の疼痛に対してはハリ治療を行っていくことでほぼ緩和していきます。



肩甲上神経・障害(けんこうじょうしんけい・しょうがい)

肩関節周囲の筋肉が硬くなってしまったり、ガングリオン(脂肪腫)などによって、肩甲上神経に圧迫が加わり、肩周辺部の痛みを誘発します。また進行すると麻痺症状に陥り腕の挙上が困難になることもあります。

ガングリオンが原因であれば内視鏡で除去すれば痛みは緩和するでしょう。

筋肉の緊張により神経圧迫が生じている様子であれば、スポーツマッサージやハリを行うことで改善していきます。肩甲骨の動きが正常であるかどうかをまず確認してみましょう。また頚部から肩にかけての「筋肉のシコリ(硬結)」があれば、一度その状態を緩和させていきます。



上腕骨骨端線障害(じょうわんこつ・こったんせん・しょうがい)

少年期でまだ全身的な筋力不足があるにも関わらず、重たい硬式ボールを投げ過ぎたり、ピッチングの多投や変化球の練習のさいに無理な腕の振りで投球していると発生しやすくなります。

成長期では軟骨部が未成熟である為(まだ柔らかく完全な骨組織として完成されていないため、まだ全身的な筋力が伴っていない状態でボールを投げているだけで関節の軟骨部へとストレスがかかり傷めてしまう・・・そのような。成長期特有の肩関節障害です。

まず安静(絶対に投げさせない)にし肩周囲の筋疲労を取り除きながら、炎症が引いてきたら運動療法を行って筋力を回復させていきます。最終的には投球フォームの矯正が必要になるケースが多いでしょう。

まず初期の段階でスポーツ整形外科・肩関節専門外来のスポーツ・ドクターに診察を受け、関節面(軟骨部の状態)の精査を受けてドクターに確認して貰いましょう。正しい治療・処置を受けることで必ず治りますが、無理をしてしまうと肩関節の可動性に問題が生じ投球できなくなるケースもあります。初期診断時の判断が重要な障害です。



ベネット病変
 

割と投手に多い肩関節の障害です。腕の良く振れている投手のフォロースルーによるもの、それからテイクバックが割と大き目の選手などに認められていました。

少年期から継続されてきた投球フォームや体質的な問題(先天的なルーズショルダーなど)があるのではないかと私は感じていますが、この障害では関節面にある骨が変形を起こし、その変形した骨が肩を通っている神経を刺激して痛みを誘発させています。

症状が酷い場合には手術で変形した部分の骨を除去すれば痛みは消失します。保存的に経過を診ていきながら判断しても良いと思いますが、フォーム・機能的な問題がある場合は少し回復に時間を要するケースがあります。



SLAP損傷(すらっぷ・そんしょう)<肩関節窩上関節唇複合損傷>

肩関節の上方部は関節唇(上腕骨頭の受け皿の部分)と上腕二頭筋長頭腱起始部の複合体(BLC)が力学的なストレスを受けて剥離(剥がれてしまうこと)してしまう障害です。

帰塁時のヘッドスライディングで腕をベースに伸ばして倒れこむと発生するケースも多く、その際に肩関節に衝撃痛を感じたら要注意です。(プロ球団の中にはこういった障害を未然に防いでいくためにヘッドスライディングを禁止していたところもあります。)

悪いフォーム・投球過多(投げすぎ)でも発生する障害です。

右投げ左打ちの選手にも割りと発生しやすく、少年期からずっと投手でプレーしてきた選手(投球数が野手よりも多くなるために)も発生する確率が高いかもしれません。

発生してしまったらまず安静にして、その後は強化を行いながら肩甲骨を含めた肩関節可動域の正常範囲の確保と肩関節周囲筋の筋柔軟性を高めていく必要もあります。

2ヶ月から3ヶ月程度のリハビリや保存療法を行っても投球時の肩の痛みが改善していかなければ、外科的手術によって剥がれた部分を修復する選択肢もあります。

しかし手術を行って完全復帰できた選手もいれば、その後に力を出し切れず、結果的に完全復帰出来なかった選手もおりますので、保存療法をまず行いながら投球動作の改善に取り組んでいくという選択肢を選んでみて、その後に判断しても良いのではないかと思います。(注:障害のグレードにもよりますし、最終的にはドクターの判断にもよります。)

スポーツ整形外科・肩関節専門外来における精密検査の結果による初期診断がとても重要な関節障害です。



反復性(亜)脱臼肩(はんぷくせい・あだっきゅう・かた)

先天的に肩関節に緩みをもっていて、通常の外転ストレスがかかった程度でも肩関節に亜脱臼が起こりやすいタイプの選手が少数ですが存在しています。

亜脱臼が何度も繰り返される場合には外科手術により肩関節の安定化をはかりますが、手術後の投球再開までのリハビリに長い期間を要します。また手術方法によっては投球が困難になるケースも考えられます。

投手の場合にはポジションの変更が必要になる可能性もあるでしょう。投球側が右肩であれば、その後に手術を受けた場合、右投げ左打ちの選手であれば右投げ右打ちに変更した方が、肩への負担は少なくて済むと考えます。

プロ野球投手の場合、元々肩関節そのものが柔軟性に富んでいるタイプの選手が多いのですが、そういった先天的な肩関節機能の優位性によってパフォーマンスが高くなる場合もありますが、その反対に肩関節の安定化そのものに問題が生じてしまうタイプの選手では、その後のプレーでハンディを抱えやすくなると言えるでしょう。

大切なのは身体全般の強化、また肩関節安定化に対するコンディショニングを継続していくことです。また筋疲労に対するリコンディショニングには十分注意していく必要があります。

(by 院長)